【木】 009:蔦紅葉

陰陽五行50題

何やら興味深げにキリークが葉っぱを見つめる。
どうしたのだろうかと声を掛けてみた。

「真っ赤な葉の色をしてる…」

彼の見つめる先には
瓦礫に絡み付いた蔓と目立つ紅葉。

『これは…蔦紅葉ですわね』
タラークの召喚している女神が
静かに近付いてくる。

「ツタ…モミジ?」
『はい。ブドウ科、つる性の落葉低木です』
「…ふ~ん」

俺は曖昧な返事をしたが
キリークの興味は尽きていないらしい。

「土から炎が舞ってるみたいだ」
『この紅色は、確かに炎を連想させますわね』
「自然の組み合わせって不思議だよね。
 魔法も…そうなのかな?」
『どうでしょうか?
 でも、魔法も又 この世界に影響を受けてますから』

所詮剣士の俺には解らない世界観。
何となく悔しくてそのまま会話を聞くものの
結局は何も理解出来ず仕舞いだ。

「その内 何かが見えてくれば充分だろう?」

心の中を見透かしたかの様なウーンの一言に
俺は思わず萎縮してしまった。
Home Index ←Back Next→