何やら興味深げにキリークが葉っぱを見つめる。
どうしたのだろうかと声を掛けてみた。
「真っ赤な葉の色をしてる…」
彼の見つめる先には
瓦礫に絡み付いた蔓と目立つ紅葉。
『これは…蔦紅葉ですわね』
タラークの召喚している女神が
静かに近付いてくる。
「ツタ…モミジ?」
『はい。ブドウ科、つる性の落葉低木です』
「…ふ~ん」
俺は曖昧な返事をしたが
キリークの興味は尽きていないらしい。
「土から炎が舞ってるみたいだ」
『この紅色は、確かに炎を連想させますわね』
「自然の組み合わせって不思議だよね。
魔法も…そうなのかな?」
『どうでしょうか?
でも、魔法も又 この世界に影響を受けてますから』
所詮剣士の俺には解らない世界観。
何となく悔しくてそのまま会話を聞くものの
結局は何も理解出来ず仕舞いだ。
「その内 何かが見えてくれば充分だろう?」
心の中を見透かしたかの様なウーンの一言に
俺は思わず萎縮してしまった。