小さな町の片隅で展開されている露天。
キリークは目を大きく見開いて
何かをジッと凝視している。
「どうしたんだ、キリーク?」
「これ…何だ?」
「これ…?」
彼が指差す先には
ブリキ製の玩具が置かれている。
「これは…木こりの玩具だな」
「へぇ……」
珍しいんだろう。
どうやらキリークは
その場から離れたがらない様子だった。
玩具一つ購入した所で
別に荷物にはならないだろう。
「どれが良い?」
「…え?」
「買ってやるよ」
「俺に?」
「あぁ」
「有難う、アーク!」
気に入った木こりの人形を優しく抱き締め
キリークは微笑を浮かべていた。