No. 059:カーラジオ【ローカル】
沈黙の車内に響いてくるのはラジオの音。
街灯と共に、夜の深みを感じさせる。
パトロールも終わり、後は署に戻るだけ。
長い一日。
ハンドルを握りながら
耳はDJの軽快なトークを追っている。
「…少し、物足りないなぁ」
標準語で綴られる言葉に一抹の寂しさ。
以前耳にした地方のローカル放送が
不意にとても懐かしくなる。
何が違うと言うのだろうか。
たかがラジオ、されど…ラジオ、である。
「そうか…。訛り、だ。
方言が無いからなんだな…」
ふと気付いた事実を
誰に語るでもなく呟くと
笑みを浮かべて居る自分に気付いた。
Copyright(C)2011/06/13 Itsuki Morimoto All rights reserved.
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