「勇敢と無謀は違うんだよ」
田中は『もう一分張り』と書かれた扇子で
自身の口元を押さえながら
谷村の様子を見つめている。
「しかしですね。
あの場合は突っ込むのが鉄則かと」
「その鉄則…。
課長が聞いたら
目をひん剥いて雷を落とすよ」
呆れ顔で口を挟む吉井。
吉田に至っては拝みに入っている。
「捜査課もスッカリ危ない方法を
取る様になりましたな、パパ」
「どうしてこっちに振るの、ナカさん?」
「だって…」
田中は扇子をパタパタと仰ぎながら
ボソッと一言。
「パパなら解ってくれるじゃない」
「…ナカさんったら」
また中年の怪しい雰囲気が醸し出されてる。
それも大概、可笑しい事なのだと
何時になったら気付くんだろうか。
こんな捜査課で大丈夫なのか?
近藤課長の胃の状態が
非常に心配である。