- YAMATO 〜Flugbahn meiner Jugend〜
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「火星基地、ですか?」
「そうだ」

土方教官は実に淡々と
俺達の今後について語ってくれた。

「従来、最終試験に合格すれば
 そのまま希望部署への
 配属が決まるのだがな。
 年に一度だけ、優秀な学生を
 火星基地にて一年間の実務を
 積んでもらう事になっている。
 希望部署への配属はその後だ」
「火星基地では、何を…?」
「実際の基地配属と何ら変わらん。
 違うのは、基本的に自己判断で
 行わなければならない事位だ」
「?」

「先輩方や専属の担当者は…?」
「訓練用の基地だからな。
 配属されるのはお前達2人だけだ」
「俺と、島だけで……」
「従来は5〜10人程で組むのだがな。
 此処最近の戦乱により
 訓練に回す人でも不足している」

戦争の一面を垣間見るとは
こう云う事を言うのだろうか。
圧倒的な兵力差だけでなく、
ガミラスとは人員の差もあるのだろうか。

島の表情は少しも変わりが無い。
やはりコイツは
事前に知らされていたんだろうな。
そう思うと、何だか俺は
同い年の筈の島の存在を急に遠く感じた。

* * * * * *

自室への帰路。
廊下を歩きながら、俺は島に声を掛けた。

「なぁ、島?」
「ん?」
「お前…何時から知ってた?」
「何を?」
「火星基地への…派遣」
「…3日前」
「…そう、か」

やはり教官達は良く解っている。
先に聞いたのがもしも俺だったら
此処まで冷静に対応出来ないだろう。
残念だが、これが俺達の差なんだと
思い知らされた様な気がした。

直情的な俺。
冷静沈着な島。

「古代…」
「…何だ?」
「気を、悪くするなよ」
「…何が」
「お前に…黙っていた事…」
「派遣の、事か?」
「…あぁ。
 まだ内定段階だったんだ。
 俺が最初に聞いた時は…」
「内定? じゃあ…」
「本部の配属次第では
 派遣も流れるかも知れなかったそうで、な」
「…成程、そう云う事か」
「古代…」
「土方教官、気を利かせてくれたんだな」
「…だと、思う」

俺が内定段階でこの話を聞いたとしたら。
もしも話が流れた場合、
恐らく糠喜びの反動は大きかっただろう。
土方教官は俺達生徒の性格を
実によく理解していると感心する。

「何時からだっけ?」
「何が…?」
「派遣日時」
「…一週間後だって言われたろ?」
「…あれ? そうだっけ?」
「お前…勘弁してくれよ……」
「わ、悪い悪い!
 お前が居るからってつい安心しちまった!」
「…まぁ、良いんだけどさ」

島は少し顔を俯きがちにし
何かを小さく呟いた、様だった。

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