Gegenteil

自己紹介の一幕で
俺はスッカリ悪い意味の【有名人】と成った。
元々あの【古代 守】の弟と云う事で
教師には目を付けられていた訳だが。
兄さんも相当色々やらかしたらしいし。

しかし、兄さん達が在籍中の時代も
やはりこんな風に毎日が下らなかったのだろう。

F組は別名【選抜クラス】と呼ばれ、
各地から有能な人材が集められていた。
其処で集中的に勉強や訓練を行い、
即戦力の宇宙戦士を輩出すると云うシステムだ。
勿論、兄さんや真田さんもこのF組出身である。

俺自身の成績は…と言うと
実戦授業では正に敵無し、と言いたい所だったが
実際には常に接戦状態の奴が存在していた。
そう、それが島なのである。

然も彼は俺と違って宇宙理論学関係にも精通しており
レーダー学や航海学に関してはベラボウに強く、
専門の教師すら脱帽していた。
F組の担任は航海学の教師でもあったが
いつも島に論破されては
悔し紛れに歯軋りしていた。

島は間違い無く【天才】レベルである。
彼の向学心や、授業態度は
真田さんが見たら直ぐに気に入るだろう。
謙虚な性格だが、こと授業になると
それ位熱心で貪欲に成っていた。

この学校に来たのも
本人の希望と云うより
出身中学側のゴリ押しだったと言う噂も耳にした。
自分から志願して入学して来た俺とは
何から何まで正反対。

そんな何でも持っている様な彼が
とても羨ましくて仕方が無かった。
彼は誰に対しても
わけ隔てなく親切で優しい。
それが尚更俺には辛かった。

部屋に戻れば何時だって
島を独り占めに出来ると云うのに
俺はつまらない意地を張ってしまっていた。
彼が声を掛けてくれるまでは
自分からは何も言わない。
ガキの様な態度ばかり取っていた。

島が学友と談笑している姿を見たくなくて
俺は…食堂で晩飯を食わず、
菓子パンで無理矢理空腹を誤魔化す日々が続いた。
これでも列記とした成長盛り。
当然腹が減って眠りは浅く
授業中に居眠りを連発し、成績も落ちる。
俺が人よりやや成長が遅いのも
コレの所為だったのかも知れない。

俺はつくづく、素直じゃない。
それもこれも、島の笑顔を独り占めしたいと云う
下らない独占欲の所為なのだ。
第一、俺は男で彼も…男だ。
男が男に嫉妬するなんて変な話である。

いや、そう云う恋愛が有るのは百も承知だが
色々有る経験上、俺には無縁だと思っていた。
ただ…そう思いたかっただけなのかも知れないが。

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SITE UP・2010.07.21 ©Space Matrix

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