多少違った行程でも、
慣れてしまえばそれが【日常】になる。
宇宙戦士訓練学校の頃とは
大きく違う時間の流れや空間さえも、
いつの間にかそれが
俺達のものとなっていた。
「レトルト食も慣れると平気になるな」
「そりゃ冷めた飯より暖めた飯の方が
格段に美味いって」
「そうなんだよな。変なの」
「変じゃない」
「?」
「温めるって事は…
人の手が加わってるって事だ。
温める事でその人の思いが込められるのなら
飯だって美味くなる。
当たり前の事だ」
「…ほぅ」
流石は料理が出来る男。
俺は感心しながら綺麗に飯を食い終えた。
「そろそろ測量結果が出る頃だな。
俺、先に行ってるから。
あぁ、お前は飯を食い終わってから来いよ」
「解った」
「急いで食わなくても大丈夫だって。
結果は自動的にレポートをデータ化してくれる訳だし。
俺はお前が来る迄、それを見守ってりゃ良いだけだ」
俺がこう言うと、目の前に座っている大介は
クスッと笑みを零した。
普段は天邪鬼を気取っていても
コイツのふとした仕草がそれらを否定する。
俺には判る。その違いも。
* * * * * *
提出するデータの選別は大介に一任していた。
数式はどうも昔から相性が悪い。
戦闘機乗りになった時、計器の扱いも有る訳だから
今の内から慣らさないとなぁ〜とは思っているが。
俺は自分で思う以上に楽観的なのかも知れない。
「選別完了。これを送れば良いよ」
「よし。それは俺がやる」
「任せた」
「あぁ」
「今回は結構、結果が僅差だったからな。
選別にも時間が掛かっちゃったよ」
そう言いながらも笑顔を浮かべる大介を見ていると
それ程苦労した感じを受けないから不思議だ。
ただ、これは注意しないといけない。
此奴には【仮面(ペルソナ)】が有る。
本人も無意識に被ってしまう、厄介な代物。
「なぁ、大介」
俺はふと思い立って声を掛けた。
「何だ?」
「この後、何か有る?」
「特には無いかな。機械を設定し直して…」
「それから?」
「明日の準備をして、位だろ。
飯を食ったら寝るだけさ」
「そんなもんか」
「あぁ。大分時間を巧く使える様になってきたからね」
「じゃあ、【俺達の時間】が増えるって訳だ」
「? どう云う意味だ?」
「シャワー。一緒に浴びようぜ」
「……」
大介は暫く俺の顔をジロジロと見つめていたが
やがて何かを悟ったのか、急に笑い出した。
「はいはい、そう云う事ね。
じゃあ晩飯の献立も【それ仕立て】にするか」
「変な気は使わんでいい!!」
「そう?」
「其処迄言うなら眠らせねぇぞ、今晩は!」 |