Letzte Schlacht

古代が部屋に戻って来たのは17時20分頃。
何やら険しい表情で
無造作にバックを机に置くと
そのまま急いで部屋を出ようとした。

「何処へ行くんだ?」
「…島には関係無いよ」

その言葉遣いで俺は察知した。
手紙だけでなく、直に古代を嗾けたのだろうと。

「…これ?」

俺は手にした手紙を差し出して見せる。
内容を確認した古代の表情の変化で
俺は自分の推察に狂いが無かった事を確信した。

「多勢に無勢じゃ、フェアじゃない。
 俺も行くよ、古代」
「島。お前は関係無いだろ?」
「関係は有るさ」
「?」
「俺はお前のルームメイトだ」
「……」

正直、それ以上に相応しい理由を思い付かなくて
少々間が抜けた対応になってしまった。
だが古代は、その一言に安心してくれたのか
不意に微笑を浮かべて俺の肩を叩いた。

「言い出したら聞かないもんな、お前。
 俺よりも頑固ってなかなか居ないんだぞ」
「喧嘩はそれ程した事無いけどな」
「…大丈夫かよ」
「大丈夫。俺より相手を心配した方が良い」
「? どう云う事だ?」
「その内に解るよ…」
「島…?」
「俺に歯止めが利かなくなったら、
 巧く制御して欲しい」
「……解った」

今はこれ以上言う事が出来ない。
古代の身体能力の高さは良く解っているし、
コイツならば暴走した俺を止められるかも知れない。
余りにも理不尽な言い分だが…。

「じゃあ、行くか」
「あぁ…」

扉を静かに閉めると、
俺達はまるで散歩にでも行くかの様なリズムで
指定された場所へと向かった。

* * * * * *

くすんだ空気。
薄暗い部屋から聴こえてくる嗤い声。
それは何故か、俺の過去の記憶とリンクし
無性に苛立たしい気分にさせる。

「居るぜ、島。
 6人…いや、8人か」
「9人だ」
「そ…そうか。お前、目も耳も良いんだな…」
「……」

早くぶん殴ってやりたくなる。
自分でも理解出来ない衝動が来ている。
あの頃は判らなかった変化が
今は手に取る様に判る。

俺はこの【衝動】を恐れていたのだ、と。

「島」
「…何だ、古代?」
「遠慮なんか要らないからな。
 思い切り暴れちまえ」
「……」
「大丈夫だよ。
 やり過ぎたと思う前に
 必ず俺が止めてやるから」
「…頼りにしてるよ」
「此方こそ」

下手に自分でブレーキを掛けない方が良い。
古代に全てを託そう。
俺は意識を目の前の集団にだけ向けた。

過去に押しつぶされるか否か。
俺の未来は、此処に懸かっているのだから。

web拍手 by FC2

SITE UP・2011.5.17 ©Space Matrix

書庫 目次