[2] 大門登場

トントン

沢渡が入室した物とは別の扉をノックする音。

「お、どうぞ」
嬉しそうに木暮が呼ぶ。
その相手とは勿論
大門 圭介巡査部長。
言わずと知れた『大門軍団』の団長本人である。

「失礼します」
グレースーツに身を固め
短く刈り込まれた髪。
礼儀正しい性格を反映する
深々とした会釈。

「紹介するよ、大さん。
 彼女が沢渡 咲樹君」
「初めまして、沢渡と申します」
「初めまして。自分が大門です」

端から見ても緊張している上司と部下。
少し心配そうに木暮が大門に問う。

「どうした、大さん?」
「いえ…」
額の汗をハンカチで拭いつつ
大門は曖昧な返事をした。

「まぁ最初は誰でも緊張するだろう。
 これから長い付き合いになる。
 仲良くやってくれれば俺は何の問題も無い」

「これからも宜しくお願いします。
 えっと……」
咲樹は大門に声を掛けるものの、
どう『呼んで』良いのか判らず困惑している。

「『団長』で良いんじゃないか?
 なぁ、大さん?」
木暮はウインクを投げかける。
その仕草に漸く緊張が解けたのか、
大門も微笑を浮かべて頷いた。

* * * * * *

「へぇ〜、ウチに配属ねぇ…」
煙草を口元で弄びながら
松田は鳩村にそう言った。
口調は淡泊だが、意外と興味は持っていそうだ。

「そう。資料見たけど、なかなかイケるぜ」
「ほぅ…」
その横でコップの水を一気飲みした源田が
口を挟んできた。

「ハトの言う『イケる』ってのは信用出来るのかぁ〜?」
「…賭けても良いぜ、ゲン」

悪戯っぽく口の端を上げて笑う鳩村。
案の定、源田は挑発に乗ってくる。

「よっしゃ、幾ら賭ける?」
「昼間から刑事が賭博か? 止せ止せ」

結果は見えている。
松田は笑いを抑えながら2人を制止した。

「飯食い終わったんだろ?
 そろそろ戻ろうぜ」

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