[59] 大門暗殺・5

洗脳を解くには自分を撃たせるしかない。

大門は北条を救う術を見付けていた。

彼の腰に装着されていた時限爆弾の
タイムリミットが近付いてきている。
失う訳にはいかない。

隣では苦しそうな表情を堪え
咲樹が真っ直ぐに前を、刀を見つめていた。

彼を救いたいのは自分だけじゃない。
自分を庇おうと反射的に飛び出した咲樹。
彼女もまた、
北条の洗脳を解こうと必死なのだ。

仲間達は反対するかも知れない。
だが彼女だけは
自分の気持ちを理解してくれるだろう。
大門はそう思った。

* * * * * *

「来るなっ!!」
洗脳の解かれない状態で
大門は北条と相対していた。

もう…時間は殆ど残されていなかった。

「殺す…。大門、殺してやる……」
正気を失った目が
真っ直ぐに大門を見つめる。

「ジョーッ!!」
耐え切れずに咲樹が叫ぶ。

その一瞬だけ、彼の表情に変化が表れた。

「ダイモンヲコロセ、コロスンダッ!!」
イヤホンから届く、激しい命令。
そして。

「自分を撃てっ!!」
大門の声が彼の心の引き金を引いた。

「うわぁーーーーーっ!!」
北条は大門目掛けて発砲した。

* * * * * *

弾は大門の肩に命中した。
だが北条には「撃った」事しか認識が無い。

『目的を果たせば洗脳状態から
 一時的だが空白時間が生じる』

彼は人形の様に立ち竦んだままだ。

大門は決死の形相で立ち上がると
北条を押し倒し、爆弾を外した。
時間は残り数秒。
それを遠方へ投げ、
…伏せる。

大きな爆音と爆風。

慌てて仲間達が駆け寄ってくる。

「ジョー…? ジョーッ!」
「…団長?」
北条が戻っていた。
温和で優しい声が。

「ジョー?」
心配そうに覗き込む咲樹を
彼は両手を広げ、迎えようとしている。
優しい笑みを浮かべて。

「…ジョー」
「大丈夫?
 怪我、してる…咲樹さん…」
洗脳時の記憶は彼に無い。
それで良いと咲樹は思った。

彼が無事ならそれで良い。
温かい胸に抱き締められながら
彼女は安堵の涙を流していた。

* * * * * *

完全に洗脳の影響から解放される為、
北条はそのまま救急車で病院に運ばれる。

「同乗しなよ」
沖田が笑顔で彼女を招き入れる。
始めは戸惑っていた咲樹だったが
大門に背中を押され、
恥ずかしそうに俯くと
笑顔で沖田の手を取った。

「あの子が…大きくなりましたね」
浜が意味深な言葉を述べた。

「えぇ…」
「辛い職業を選んだんですな。
 自分の意思で…」
浜の目はまるで娘を見守る父親の様であった。

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SITE UP・2005.12.18 ©森本 樹

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