| [59] 大門暗殺・5 |
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洗脳を解くには自分を撃たせるしかない。 大門は北条を救う術を見付けていた。 彼の腰に装着されていた時限爆弾の タイムリミットが近付いてきている。 失う訳にはいかない。 隣では苦しそうな表情を堪え 咲樹が真っ直ぐに前を、刀を見つめていた。 彼を救いたいのは自分だけじゃない。 自分を庇おうと反射的に飛び出した咲樹。 彼女もまた、 北条の洗脳を解こうと必死なのだ。 仲間達は反対するかも知れない。 だが彼女だけは 自分の気持ちを理解してくれるだろう。 大門はそう思った。 「来るなっ!!」 洗脳の解かれない状態で 大門は北条と相対していた。 もう…時間は殆ど残されていなかった。 「殺す…。大門、殺してやる……」 正気を失った目が 真っ直ぐに大門を見つめる。 「ジョーッ!!」 耐え切れずに咲樹が叫ぶ。 その一瞬だけ、彼の表情に変化が表れた。 「ダイモンヲコロセ、コロスンダッ!!」 イヤホンから届く、激しい命令。 そして。 「自分を撃てっ!!」 大門の声が彼の心の引き金を引いた。 「うわぁーーーーーっ!!」 北条は大門目掛けて発砲した。 弾は大門の肩に命中した。 だが北条には「撃った」事しか認識が無い。 『目的を果たせば洗脳状態から 一時的だが空白時間が生じる』 彼は人形の様に立ち竦んだままだ。 大門は決死の形相で立ち上がると 北条を押し倒し、爆弾を外した。 時間は残り数秒。 それを遠方へ投げ、 …伏せる。 大きな爆音と爆風。 慌てて仲間達が駆け寄ってくる。 「ジョー…? ジョーッ!」 「…団長?」 北条が戻っていた。 温和で優しい声が。 「ジョー?」 心配そうに覗き込む咲樹を 彼は両手を広げ、迎えようとしている。 優しい笑みを浮かべて。 「…ジョー」 「大丈夫? 怪我、してる…咲樹さん…」 洗脳時の記憶は彼に無い。 それで良いと咲樹は思った。 彼が無事ならそれで良い。 温かい胸に抱き締められながら 彼女は安堵の涙を流していた。 完全に洗脳の影響から解放される為、 北条はそのまま救急車で病院に運ばれる。 「同乗しなよ」 沖田が笑顔で彼女を招き入れる。 始めは戸惑っていた咲樹だったが 大門に背中を押され、 恥ずかしそうに俯くと 笑顔で沖田の手を取った。 「あの子が…大きくなりましたね」 浜が意味深な言葉を述べた。 「えぇ…」 「辛い職業を選んだんですな。 自分の意思で…」 浜の目はまるで娘を見守る父親の様であった。 |