No. 006:帰り道【手袋】


「寒いっすね」
手を擦りながら松田が微笑む。

息が白い。
冬の夜は体が底冷えする。

「風邪引くなよ、リキ」
「勿論ですよ、だん…」
そう言い掛けて松田はクシュンとクシャミをした。

「あ…」
「ほら、言った傍から」
大門は笑っている。

「リキ…」
そう言って手渡されたのは
大門愛用の手袋。
先程まで彼が着けていた物で
まだ温もりが残っている。

「でも…」
「良いから」
「は、はい…」

恐縮しながらも
素直に手袋を填めてみた。
自分より少し大きい手。
温もりが心まで染み渡る。

「暖かい…」
「そうか…」
満足そうに大門は笑った。

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