| 帰ってきた(?)無骨者 |
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真っ昼間の道路でマシンの音が高鳴る。 「もっと寄せろ! それじゃ逃げられちまう!!」 刀の上からハトが叫ぶ。 犯人の車を前は大将のRS-1が、 後ろはイッペイ達のRS-3がそれぞれ押さえている。 問題は横。 つまりジュンとジョーの乗るRS-2である。 「寄せろ、ジュン!」 ジョーも怒鳴る。 怒鳴りながら箱乗りで何とか犯人の車を牽制している。 「無理ですよ、これ以上の接近は!」 「何で?!」 「マシンが傷付くじゃないですか…」 「……」 一昔前なら容赦なく体当たりしていたというのに。 大門軍団は優れたマシンを持つ代わりに 技を失ったようにも思える。 同じようにマシン好きなジョーも 流石にこのジュンの一言に共感したのか それ以上 何も言えなくなってしまった。 「こんのタコ共っ!」 ハトの罵声は止まらない。 強引に刀を割り込ませようとするが 今度は大将に怒鳴られる。 「ド阿呆! 危ないだろうがぁ!!」 「ならお前が急ブレーキでも掛けて止めろっ!」 「無茶言うな、ボケェーーっ!!」 「もう…何でも良いんですけどね」 後部車のイッペイは疲れた顔を浮かべている。 「どけ、イッペイ! ここは一つワシが…」 「止めて下さいよ、おやっさん! 頼むからこれ以上、仕事を増やさないで!」 半泣きでハンドルを死守するイッペイ。 おやっさんならやりかねない。 突然加速して激突喰らわす事位。 「ん?」 不意にハトは後方に目をやった。 見慣れた黒パトが猛スピードで突っ込んでくる。 「ジョー、ジュン! 前に出ろ!!」 「え?」 「お前等、餌食になりたくなかったら前に出て待機!!」 ジュンは意味が解らなかったが、 ジョーに拳骨され、渋々前へ移動する。 そこに素早く入ってきた黒パトは 容赦なく犯人の車に体当たりをかまし始めた。 「誰だ、あの命知らず?」 バックミラー越しに大将も確認するが 正体が解らず首を傾げる。 「あ〜ぁ、やっちゃった」 後部車のイッペイはその正体には気付いていた。 こんな派手なカーアクションをする男は 嘗ての…迷ドライバー位だ。 案の定、驚異の体当たりを数発喰らった車は大破。 犯人は這いずる様に車から降りて御用となった。 「何だ、何だ。名だたる大門軍団がこの程度のホシ相手に」 ボコボコになった車から ヤケに体格の大きく見えるワイルドな男が出てきた。 「おいおいオッサン、アンタ何処の者だ?」 「あ、この車…西部署の拝借したから」 「オッサンッ!!」 ブチ切れる大将を羽交い締めし、 ハトは満面の笑顔を浮かべている。 「始末書はお前が書いてくれよ、ゲン」 「相変わらず乱暴なんだから」 「そうそう。転属しても性格だけは直ってない。 それじゃいつまで経っても女の子にもてませんよ〜」 「ひっさしぶりだな、ハト、ジョー、イッペイ!!」 ゲンは何事もなかったような大笑い。 事情が判らないジュンはおやっさんに 「誰ですか?」 と尋ね 「知らん」 と一蹴された。 「おいハト、誰じゃこのオッサンは?!」 「オッサンオッサンと五月蠅ぇ野郎だな」 「何だとーーーっ!!」 「まぁまぁ落ち着け大将。 コイツは源田って云って昔の同僚。 元・大・門・軍・団」 「俺を知らないとはモグリだな」 「転属して何年経ってると思ってるんすか、全く…」 「お、可愛くなくなったなジョー。 誰が色々世話してやったと思ってんだ、この坊ちゃんは」 「誰が坊ちゃんですか、気持ち悪い」 本気で気持ち悪いとジェスチャーするジョーに ゲンは問答無用の頭突きを喰らわす。 「再会の喜びなら署でやってくれ。 ホシに逃げられちゃ元の木阿弥だ」 おやっさんはそう言うと ジュンとイッペイを引き連れ、犯人の連行に向かった。 西部署デカ部屋内。 渋い顔をした団長が全員の顔を見渡す。 そして最後にゲンと目が合う。 「…ゲン、車を貸すとは言った。 だが潰しても良いとは言ってないぞ」 「いやぁ〜、思わず昔の血が騒いじまって…つい」 「『つい』で余所の所属の車を壊されちゃ堪らんよ」 係長の溜息が漏れる。 相変わらずのゲンの姿に ハト達級友組は微笑ましい笑顔を浮かべているが 大将はいきなり現れて美味しい所を持っていた 一見原始人のこの男がどうも気になって仕方がなかった。 然も団長と談笑しているのだから 羨ましいを通り超えて妬ましい気もする。 「で、何しに来たのよゲンちゃん」 「いや、それがなイッペイ。 今日は偶々非番だったから 折角だしと思って此処に来た訳よ。 そうしたら皆出掛けてるって言うじゃないの」 「で、黒パト拝借して…か」 「そう! 相変わらず冴えてるね、ハト!!」 「冴えてるも何も、お前の行動パターンはお見通し」 「そうそう。変わってないって事」 余計な一言でゲンにヘッドロックされるジョー。 この姿も相変わらずだ。 「非番の時位ゆっくりしてろ、ゲン」 団長は呆れつつも笑みを浮かべている。 この笑みを見ただけでも頑張った甲斐があったかな、と思う ゲンなのであった。 腕の力が緩んだ隙にジョーは何とかヘッドロックから脱出。 慣れとは恐ろしい。 体が勝手に脱出方法を覚えているのだから。 「また遊びに来ますよ、皆さん」 「おぅ、待ってるぜ」 「もう来んでもえぇ!!」 ハトと大将の言葉が 全く正反対のはずなのに見事にハモる。 その声に一同は大笑い。 デカ部屋に笑い声が木霊した。 |