終わらない悪夢・4

「おい、ゲン!」

病室を飛び出した源田の後を
松田はピッタリとくっついて来た。

「何処に行くんだ、お前さん?
 何か宛てでも有るのか?」
「…丸井 恵子を捜す」
「捜すってお前一人で?」
「とにかく捜さなきゃ始まらんだろうが!」
「なら俺も付き合うよ」
「…リキ?」

松田はニィっとシニカルに笑う。

「女相手だとお前さん、苦戦するだろう?
 俺が手を貸してやるっての」
「リキ…恩に着る……」
「止せやい」

松田の表情が一変する。
サングラスの奥に秘められた、
鋭い眼光。

「俺だってジョーがやられた事に
 相当頭来てるんだよ。
 原因を突き止めたら、全員 豚箱に放り込んでやる」

松田の言う事は尤もだ。
源田自身の気持ちを代弁してくれている。

「行こうぜ、リキ。
 確か恵子のヤサは…」

源田は嘗ての捜査で得た情報を思い出しながら
松田と共に町へと繰り出していった。

* * * * * *

「……」

微かな覚醒の気配。
北条の目がうっすらと開いていく。

「ジョー…」
「……」

大門の呼び掛けに対し、
僅かながら反応した。

「ジョー…」
「……痛、い…」

ゆっくりと口を開くが、聞き取り難い小さな声。
辛うじて吐いた言葉が「痛い」とは。

「ジョー、大丈夫か?」
「……誰、だ?」

北条は真っ直ぐに此方を見ているが
大門の事を認識出来ていない様子である。

「ジョー…?」
「誰、なんだ…アンタ…?」
「ジョー、自分が判らないのか?」
「……判らない、俺は……」

疲労からか、再び北条の瞼が閉じる。

「……」

大門は険しい表情を浮かべていた。
彼は頭に強度の衝撃を受けている。
その為に記憶障害を起こしているのかも知れない。

「…彼の様子を、逐一連絡頂けますか?」

此処に居ても始まらない。
大門は医師に北条を託し、
署に戻る事にした。

* * * * * *

「引っ越した後か…」
煙草を咥えながら松田がゴチる。

「随分と用意周到だな。
 荷物を残してないところを見ると
 夜逃げじゃないし…」

「…リキ」
「ん?」
「もう少し、付き合ってくれるか?」
「…何言ってるの、お前さん。
 今更な事言うんじゃないよ。
 ホラホラ、行くぞ」

松田は元気の無い源田が気になっていた。
こんな彼は彼らしくない。

北条の事も心配だが、
今は源田の方が気に掛かる。

「次、勤め先…か。
 こうなったらローラー作戦で
 1件づつ潰して行くか」
「それしかねぇよな。
 よし、行くぜ リキ」
「そうこなくっちゃ!」

漸く見せた源田の笑顔に
松田の頬は心成しか綻んだ様だった。

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SITE UP・2009.10.28 ©森本 樹

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