| 終わらない悪夢・4 |
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「おい、ゲン!」 病室を飛び出した源田の後を 松田はピッタリとくっついて来た。 「何処に行くんだ、お前さん? 何か宛てでも有るのか?」 「…丸井 恵子を捜す」 「捜すってお前一人で?」 「とにかく捜さなきゃ始まらんだろうが!」 「なら俺も付き合うよ」 「…リキ?」 松田はニィっとシニカルに笑う。 「女相手だとお前さん、苦戦するだろう? 俺が手を貸してやるっての」 「リキ…恩に着る……」 「止せやい」 松田の表情が一変する。 サングラスの奥に秘められた、 鋭い眼光。 「俺だってジョーがやられた事に 相当頭来てるんだよ。 原因を突き止めたら、全員 豚箱に放り込んでやる」 松田の言う事は尤もだ。 源田自身の気持ちを代弁してくれている。 「行こうぜ、リキ。 確か恵子のヤサは…」 源田は嘗ての捜査で得た情報を思い出しながら 松田と共に町へと繰り出していった。 「……」 微かな覚醒の気配。 北条の目がうっすらと開いていく。 「ジョー…」 「……」 大門の呼び掛けに対し、 僅かながら反応した。 「ジョー…」 「……痛、い…」 ゆっくりと口を開くが、聞き取り難い小さな声。 辛うじて吐いた言葉が「痛い」とは。 「ジョー、大丈夫か?」 「……誰、だ?」 北条は真っ直ぐに此方を見ているが 大門の事を認識出来ていない様子である。 「ジョー…?」 「誰、なんだ…アンタ…?」 「ジョー、自分が判らないのか?」 「……判らない、俺は……」 疲労からか、再び北条の瞼が閉じる。 「……」 大門は険しい表情を浮かべていた。 彼は頭に強度の衝撃を受けている。 その為に記憶障害を起こしているのかも知れない。 「…彼の様子を、逐一連絡頂けますか?」 此処に居ても始まらない。 大門は医師に北条を託し、 署に戻る事にした。 「引っ越した後か…」 煙草を咥えながら松田がゴチる。 「随分と用意周到だな。 荷物を残してないところを見ると 夜逃げじゃないし…」 「…リキ」 「ん?」 「もう少し、付き合ってくれるか?」 「…何言ってるの、お前さん。 今更な事言うんじゃないよ。 ホラホラ、行くぞ」 松田は元気の無い源田が気になっていた。 こんな彼は彼らしくない。 北条の事も心配だが、 今は源田の方が気に掛かる。 「次、勤め先…か。 こうなったらローラー作戦で 1件づつ潰して行くか」 「それしかねぇよな。 よし、行くぜ リキ」 「そうこなくっちゃ!」 漸く見せた源田の笑顔に 松田の頬は心成しか綻んだ様だった。 |