序 章

昨日、妹が帰ってきた。

普段と違う、賑やかだが落ち着ける時間。
幼い頃はいつも当たり前のように過ぎていた時間。

皆既日食の時に誕生した妹は、
その出生故に一人ぼっちだった。
だが、今は数人の友人と出会い、
それなりに楽しい生活を送っているらしい。

時間は確実に流れていく。
俺以外の時間が。

自室の窓から空を見上げる。
ふわふわと浮かぶグローシュ。
あのグローシュのように自由に空を飛んで行けたら…。

下の階から妹が俺を呼ぶ。
城からの伝令で、母が明日帰宅するのだという。
何だか疲れた。今晩は少し早めに眠るか。

…明日になれば、今までと違う何かが始まるような気がする。

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SITE UP・2002.04.07 ©森本 樹

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