おい。
おい、お前。
良い御身分だよなぁ。
本体の俺を差し置いて、居候のお前は大活躍かよ。
あれだけ追っていたランドルフさえも、
お前の手に掛かれば子供の手を捻るような物か。
聞いてるのか?
…何だ、眠ったのか?
皮肉なモンだ。
お前が眠るなりしてくれないと
俺は俺の身体を思い通りにすら動かせない。
理不尽だと思わないか?
今の俺は俺であって俺じゃない。
アネットの幼馴染みであるグレイも、
暗殺者で名を馳せたグレイも此処には居ない。
『俺が』こうして此処に居られるのは
この『居候』の存在が大きいんだ。
それは解ってる。
解っているだけに、…歯痒いんだ。
おい…。
お前が本当にアネットを悲しませる事が無いか、
俺が此処で監視してやるからな。
俺の身体を自由に出来る権利を与えてやってるんだ。
それ位、安いモンだろ?
嬉しそうなアネットの顔を見ていると
寂しくはあるが…安堵もしてる。
こんな生き方も俺らしくて良いか、と思えてくる。
諦めた訳じゃないが以前程悲観的でもなくなった。
『お人好しな魂』の影響かも知れない。
おい。
おい、お前。
そろそろ夜が明ける。
お前が活動する時間だ。
見せて貰うぜ。
お前の『本質』って奴を。
今日も、この暗い空間からな…。 |