IN THE LIFE

おい。
おい、お前。

良い御身分だよなぁ。
本体の俺を差し置いて、居候のお前は大活躍かよ。
あれだけ追っていたランドルフさえも、
お前の手に掛かれば子供の手を捻るような物か。

聞いてるのか?
…何だ、眠ったのか?

皮肉なモンだ。
お前が眠るなりしてくれないと
俺は俺の身体を思い通りにすら動かせない。
理不尽だと思わないか?

今の俺は俺であって俺じゃない。
アネットの幼馴染みであるグレイも、
暗殺者で名を馳せたグレイも此処には居ない。
『俺が』こうして此処に居られるのは
この『居候』の存在が大きいんだ。
それは解ってる。
解っているだけに、…歯痒いんだ。

おい…。

お前が本当にアネットを悲しませる事が無いか、
俺が此処で監視してやるからな。
俺の身体を自由に出来る権利を与えてやってるんだ。
それ位、安いモンだろ?

嬉しそうなアネットの顔を見ていると
寂しくはあるが…安堵もしてる。
こんな生き方も俺らしくて良いか、と思えてくる。
諦めた訳じゃないが以前程悲観的でもなくなった。

『お人好しな魂』の影響かも知れない。

おい。
おい、お前。

そろそろ夜が明ける。
お前が活動する時間だ。

見せて貰うぜ。
お前の『本質』って奴を。
今日も、この暗い空間からな…。

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SITE UP・2003.03.03 ©森本 樹

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