Kapitel・3-7

光源八剣士・伝説 人の章 (現代編)

【空間の扉】に気付いたのは瑠摩と聖。
葵の気配が途切れた事に気付いたのは江淋だった。

江淋は、葵が消息を絶った地点へとテレポートしたが
その場所からは何も異変を感じ取れない。

「無理矢理連れ去られたとしたら
 何処かに痕跡が残っている筈…」

だが、痕跡は何処にも無い。

「抵抗する間も無かったって事か?
 それとも…」

彼女が抵抗出来ない
何らかの理由が有ったのだろうか。

「…魁淋?」

思い付くのはそれ位しかない。
しかし、だとしたら何故魁淋が?

「クソッたれっ!!

怒りをぶつける相手も場所も無く
虚しく吠えるしかない。
絶望感に打ちひしがれる。

『江淋』

そんな時、瑠摩のテレパシーが届いた。

『【空間の扉】が使われたみたいだ』
「その様だな。
 それを使って葵を【向こう側】へ
 連れ去った奴がいる」
『【扉】を使えるのは…戒・智・力。
 俺と聖は勿論使用していない。
 そうなると…【力天子】か?』
「もう一人存在するだろ」
『ん? …まさか』
「そう。【礼天子】だ」
『…待て。
 沙羅萬陀 自らが降臨したとでも言うのか?!』
「俺から言わせりゃ
 【力天子】が【扉】を使うって方が解せん。
 向こうの世界で一人転生していたとしても、だ。
 何故今更?ってならないか?」
『確かに、言われてみれば…』
「葵の事を知ってる奴じゃなきゃ
 意味が無ぇからな」
『じゃあ、やはり…』
「沙羅萬陀、だろうな」
『…江淋』

瑠摩には伝わったのだろう。
彼の、江淋の抱いている疑念が。

『…打って出るか』
「瑠摩?」
『確認する時期が来たのかも知れん。
 様々な疑問に対する【答え】を』
「…だな」
『具体的な計画を立てよう。
 なるべく早く決行する必要が有る。
 葵の事が心配だ』
「今から其方へ跳ぶ」
『頼んだ』

テレパシーが切れた瞬間
江淋の姿がその場から綺麗に消えた。

* * * * * *

闇の眷属が支配する居城…と聞いたが
廊下を歩く限り
その様な気配は微塵もない。
写真で見た欧州の宮殿の様な
煌びやかな装飾品の数々を目にするに
寧ろ【光】を
積極的に取り入れている様な気さえする。

「葵様」

恭しく彼女に首を垂れたのは
沙羅萬陀の右腕三人衆の一人。
彼は自身をヴァイラと名乗った。

「そろそろお部屋に戻られますか?」
「…そうですね。
 いつもありがとう御座います。ヴァイラさん」
「お優しい言葉、痛み入ります」

ヴァイラは生粋の闇一族である。
然も沙羅萬陀の先代の長が父親だ。
本来なら彼が今の闇一族を治めていた筈。

(きっと、魁淋さん…いえ、
 礼天子さんが関係してるんだわ)

ヴァイラに確認こそしなかったが
何となく、葵は事情を理解していた。
此処で今く立ち回る事が
自身を守る事にも繋がる。
そう信じて、彼女は彼女なりに
この場で味方を増やす事に専念していた。
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