Gedeihen auf Hass

光源八剣士・伝説 天の章 (神代編)

俺はエリオス。
父の顔も知らず、母の温もりも知らぬ。
生まれた時より、血を分けた者は誰も居らず
天涯孤独の身の上。

このスラムに於いて、そんな奴はゴロゴロ居る。
だから特別な境遇ではない。

スラムの仲間の噂話から
俺は…俺の生い立ちを知る事となった。
興味が無かった訳では無いが
知れば知るほど、惨めにすら思えた。

俺の父は闇一族の将軍、アリシオン。
あらぬ嫌疑を掛けられ、謀殺された。

俺の母は光一族族長の妹、エリス。
父との関係を追及され、城を追われた。

父と母が出会い、愛し合い、俺が生まれた。
光と闇が交じり合った先に、俺が存在する。
だが、俺の誕生を意味するものは何だ?
敵対し、相反する光と闇。
交じり合う事など、不可能とされた関係。
それを否定する、俺の存在。

そもそも、本当に光と闇は相容れないのか?
敵対する理由は?
敵対しなければならない理由は?

俺は誰に怒ればいい?
誰を憎めばいいんだ?

許される筈が無い。
俺から父を奪い、母を死に追いやった奴を。
俺は決して許さない。
許せる筈が無い。

「エリオス、お前…この先どうするつもりだい?」
「どうするって?」
「スラムを出るって言ってたろ?」
「あぁ」
「宛でも有るのかい?
 言っちゃ何だが、スラム出身の者は
 人扱いなんざしてもらえないよ」
「…別に人扱いなんかして要らないよ」
「エリオス…」
「俺は傭兵になる」
「傭兵?」
「傭兵ならスラム出身でも多く居るからな」
「た、確かにそうだけどさ…」

実際、このスラムからも傭兵は多く出ている。
勿論戦場で使い捨てされる運命だが
巧く行けば会える筈だ。
何せ俺の父親は将軍迄上り詰めた男。
ならば…必ず居る筈だ。

『俺の父親を謀殺した相手』が。

「給料が出たらおばさん宛てに振り込んでおく。
 今迄散々世話になったからね」
「エリオス…」
「俺も一手柄上げるとするよ。
 男だからな」

必ず仕留めてやる。
血祭りに上げてやる。
楽には殺さない。
苦しめて苦しめて…
生きている事を後悔させてやる。
笑っていられるのも今の内だ。
俺は…そいつ等を処刑する為に
この世に生まれて来たのだから。

父さん、そして母さん。
貴方達の無念は、俺が必ず晴らす。
だから安心して、見守ってくれ。
父さん、貴方に負けない位の戦士になって
俺が全てを破壊してみせるから。

そう…。
俺は全てを破壊してやる。
こんな下らないシステムを。
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