先日、目を通した歴史書に手を伸ばす。
「ん?」
瞬時に何者かの霊気の気配を感じ取る。
(この気配は、何処かで…?)
思い出そうとするが、記憶の欠片に掠りもしない。
小さく舌打ちをし、歴史書を本棚から引き抜くと
弦耶は近くの椅子に腰を下ろし
続きの頁に目を移した。
「これは?」
身に覚えの無い紙切れ。
ノートの切れ端の様にも見える。
在学生が挟んだ物なのか。
「気配はこの紙切れからか」
弦耶は紙切れを丁寧に摘まむと
ゆっくりそれを展開させた。
「……」
弦耶の表情が途端に険しくなる。
『資料漁りは又後日、だな』
彼は素早く立ち上がると
そのまま歴史書を本棚へと戻し
風の様に図書館を後にした。
その両手は力強く握られている。
「警告?」
「そう。これ、見て」
弦耶はそう言うと
手にした紙切れを亜斗武に見せる。
亜斗武の表情は何とも言えぬ
苦々しいものに変化していった。
「
「何の意味かサッパリだが
【恨】なんて態々書く程だ。
碌なもんじゃねぇ事位は想定出来るわな」
「成程ねぇ~。
で、続く言葉が蘇リシ…」
「メモ書きは此処で途切れている」
「ノベルゲームのモノローグみたいに
説明しようとすんな!」
弦耶に突っ込みながら
亜斗武はメモ書きの真意を
何とか追求しようと試みた。
「警告、は何か解る気がするわ。
文字がかなり走り書きやし」
「そうなんだよ」
「しかしまぁ、何でこんなに古めかしい…」
「言い回しだろ? 確かに…」
「……」
「亜斗武?」
「俺、思うんやけどさぁ…。
これ、お前が調べてた書籍に
潜り込んでたんやってな」
「あぁ、そうだが」
「藤原の末裔が動いとるんかもしれん」
「!!」
「お前の動きを追ってる可能性大や」
「…そうなると厄介だな」
「そやな。
このメモの主がどうかは判らんけど
1000年前の遺恨再び…って意味やろ」
「…」
「そやから
「…そんな所だろう」
くだらねぇ
弦耶の口から思わず漏れた一言。
それが何を指しているのか。
誰に向けての言葉だったのか。
亜斗武は敢えて聞かなかった事にした。
聞き流す事で救われる事が有る事を
彼は誰よりもよく理解している。
男性にしては長めの
パチパチっと複数回動いた。