No. 068:最愛の【さよなら】

切な系100のお題

丈をその身に宿してから
フュンフは徐々に痩せ衰えていった。

その理由を聞き、
Zugzwangの呪いは
まだ我々を苦しませるのかと絶望した。
いっそ、全てを破壊し尽くしてしまえば…。
そう、思い詰める事もあった。

しかし、フュンフはそれでも
決して諦めたりはしなかった。
炎の勾玉が如何に彼女を蝕もうとも。

丈が誕生し、暫くは平穏な日々が続いた。
丈一人では寂しいだろう、と
フュンフは心配し
私は彼の為に【弟】を造り上げた。
家族四人、幸せに生きていけたら…。
そんな願いも、虚しく砕けた。

「さよならは言わないわ」

丈を助ける為
己の瞳を提供したフュンフ。
彼女は最後迄【笑顔】だった。

「私達は又巡り合い、愛し合うの。
 だからソリティア、さよならは要らない。
 又、逢いましょう」

今でも思い出せる。
その優しい笑顔と声を。
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