丈をその身に宿してから
フュンフは徐々に痩せ衰えていった。
その理由を聞き、
Zugzwangの呪いは
まだ我々を苦しませるのかと絶望した。
いっそ、全てを破壊し尽くしてしまえば…。
そう、思い詰める事もあった。
しかし、フュンフはそれでも
決して諦めたりはしなかった。
炎の勾玉が如何に彼女を蝕もうとも。
丈が誕生し、暫くは平穏な日々が続いた。
丈一人では寂しいだろう、と
フュンフは心配し
私は彼の為に【弟】を造り上げた。
家族四人、幸せに生きていけたら…。
そんな願いも、虚しく砕けた。
「さよならは言わないわ」
丈を助ける為
己の瞳を提供したフュンフ。
彼女は最後迄【笑顔】だった。
「私達は又巡り合い、愛し合うの。
だからソリティア、さよならは要らない。
又、逢いましょう」
今でも思い出せる。
その優しい笑顔と声を。