ボンヤリと窓を眺める姿。
美雨は頬杖をつきながら
雨降る外を見つめている。
「今日の雨は長めだね」
様子を見に来た兄、疾風の姿を見る事無く
彼女はそう呟いた。
「そうだな」
「雨の上がった世界って」
「…」
「どんな感じなんだろうね?」
「…そうだな」
ふと、疾風は思い出す。
丈と出会った50年前の世界。
其処で見た青空を。
あの時の空は
この時代にも我々の目の前に
現れてくれるのだろうか。
否、信じるのみだ。
雨上がりの青空広がる未来を。