No. 073:あの日の空【頬づえ】

切な系100のお題

ボンヤリと窓を眺める姿。
美雨は頬杖をつきながら
雨降る外を見つめている。

「今日の雨は長めだね」

様子を見に来た兄、疾風の姿を見る事無く
彼女はそう呟いた。

「そうだな」
「雨の上がった世界って」
「…」
「どんな感じなんだろうね?」
「…そうだな」

ふと、疾風は思い出す。
丈と出会った50年前の世界。
其処で見た青空を。

あの時の空は
この時代にも我々の目の前に
現れてくれるのだろうか。

否、信じるのみだ。
雨上がりの青空広がる未来を。
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