僕は戦争が嫌いです。
喧嘩や争い事が嫌いです。
どうして皆、仲良くなれないのですか?
* * * * * *
戦火に巻き込まれた状況下。
それでも、僕にはまだ
お父さんとお母さんが居てくれた。
遠く離れて、なかなか出会えないけれど
優しい守兄さんも居てくれる。
守兄さんのお友達の真田さんも居る。
怪我をして運ばれてくる人の姿を見ながらも
僕はまだ幸せなんだと感じていた。
【さよなら】は…もう直ぐ側まで迫っていたのに……。
* * * * * *
残った物は何も無い。
お母さんの身に付けていた服の布切れ。
それだけが、手掛かり。
後は跡形も無い。
これが…【遊星爆弾】の爪痕。
抉られた大地と同じ様に
僕の心も、この時に砕かれた。
幸せなんて、もう何処にも無い。
だって…奪われてしまったのだから。
懐かしい故郷も。
お父さんも、お母さんも。
「……さない」
掠れた声が辛うじて残した言葉。
それは【恨み】だった。
「許さない…、絶対……。
絶対、敵を取ってやるんだ……」
行き先など無い。
だけど、僕の足は前へと進み始めていた。
どうすれば良いのかなど知らない。
判らない。
だけど、このままでは終われない。
終わらせない。
「坊や!」
前方から声が聞こえる。
軍服に身を包んでいるから…
あの人は防衛軍の人なんだろうか?
それとも、警察?
「坊や、大丈夫かい?
君がやって来た方向って…確か…」
「爆弾が落ちた場所、だよね?」
「そうだよ! まだ放射能が漂っていて危険なのに…」
「お父さんとお母さんが、其処で死んじゃったから」
「あの爆発に巻き込まれたのか。
それは気の毒な事を…。
い、いや…此処で立ち話をしている時間は無い。
先ずは君の残留放射能を除去しないと!」
「平気だよ?」
「いやいや! 目に見えないからこそ
放射能汚染ってのは性質が悪いんだ。
もう少し進んだ所に防衛軍の臨時研究所が有る。
先ずは其処に向かおう」
「研究所…」
其処まで聞いて、何故か真田さんの事を思い出した。
あの人は科学者の道を進んだらしいと
守兄さんから聞かされていたから。
「あの」
「ん? 何だい?」
「其処の研究所に…
真田 志郎さんって人、居る?」
「真田? う〜ん、判らないな」
「そうか…」
「いや、聞いてみよう。
もしかしたら在籍しているかも知れないからな。
坊やの知り合いかい?」
「うん。兄さんの友達」
「そうか。なら、至急問い合わせよう。
坊やの名前は?」
「古代…進……」
もうこの場所に戻る事は無いだろう。
さようなら、お父さん。お母さん。
そして…御免ね、お母さん。
僕は……。 |