Wiedervereinigung

さして広くも無い研究所。
地方の研究所なのだから
この程度有れば充分なんだろう。

真田さんは研究所の人達の間で
一寸した有名人だったらしい。
若くして色んな分野の第一人者を
たった一人で負かしてしまい、
今や向かう所敵無し…らしい。

僕の記憶に残る真田さんは…
少し言葉少なめだったけど
怖い顔とは全く異なる心優しい人だった。
あんな兄さんがもう一人居れば…
純粋に、そう思って憧れていた。

「古代、進…君……」

待合室に座る僕に近付いて来る影。
それは…当然こんな所に居る筈の無い人。
真田さんは中央研究所から
やはり急いで駆け付けてくれたのだ。

「進君…。無事で、良かった。
 君の御両親の事は…緊急通信で聞いた。
 古代も…君の兄さんも、
 直ぐに此方に向かうとの事だ」
「真田さん……」
「よく…生きていてくれた……」

真田さんは声を詰まらせたまま
力強く僕を抱き締める。
久しぶりに感じる人の温かさ。

まるで氷に成ったかの様に
動じなかった僕の心が…
音を立てて崩れていく。
涙が、溢れてくる。

「さなだ…さぁ……ん………」
「泣いても良いぞ、進君…。
 これはとても悲しい事なんだ。
 だから…思い切り泣きなさい……」
「う…うぇぇ……」

お父さん、お母さん。
こんな風にお別れするなんて思っても居なかった。
そんな日が来るなんて…
考えもしなかった。

でも、もうお父さんとお母さんは居ない。
何処にも居ない。
永遠に奪われてしまったんだ。

真田さんは僕をずっと抱き締めてくれていた。
忙しい人だと研究所の人達から聞いてた。
だけど、真田さんは守兄さんよりも先に
僕の所に駆け付けてくれた。

守兄さんが忙しい事も、
簡単に戻れない事も知ってるから
それは仕方が無い事だと思っていた。
それならまだ、地上勤務の真田さんの方が
いざと云う時は早く連絡が着くと
兄さんは前以て教えてくれていた。

守兄さんは知ってたんだろうか?
僕達の故郷に遊星爆弾が落ちる事。
知っていても、止められなかったんだろうか?

僕達はこのまま
何も出来ないまま、ガミラスに屈するんだろうか?

震える手で真田さんの服を掴みながら
僕の中で何かが生まれつつあった。
激しい動きをする、何か。
こんな激しくて、心が痛いのは初めて…。
だけど…僕には【これ】が必要なんだと
僕の心が叫んでいる。

「進君…?」
真田さんは心配そうに僕に声を掛けてくれた。

そうだ。
守兄さんと真田さんの力を借りれば
僕にもきっと出来る筈だ。

僕の、【願い】を叶える為に。

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SITE UP・2010.05.12 ©Space Matrix

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