| File.1-1 |
|---|
『それ』を知ったのは本当に偶然だった。 最近のアイツは何故か艦長とだけしか会話をしない 一層の孤独を漂わせていた。 アイツが人を寄せ付けなくなったのは イスカンダル星へ向かう直前。 地球との最後の交信を終えてから。 俺は母や弟と、 他の者達も家族と会話をする事が出来た。 しかし、俺が知る限り… アイツには、古代にはもう家族は居ない。 古代が圧倒的な寂しさを抱えながら 一人で艦内を彷徨っていた事も この時の俺は恥ずかしながら 全く気が付いていなかった。 どんな思いで仲間達と擦れ違い 言葉を交わしていたのか。 そして、古代の姿を確認する事も叶わず 何が起こったのかを知る事も無く かなりの月日が経過していった。 それは何時だっただろう。 或る日の晩、それだけは確かだ。 手持ち無沙汰だった俺は寝る前に、と 宛ても無く何気に艦内を散歩していた。 足の向くまま、気の向くまま。 そしていつの間にか艦長室の前まで来ていた。 どうしてだったのかは解らない。 アイツの、古代の事が気に掛かっていたからか。 それとも…。 「ん…?」 不意に妙な音が聴こえてきた。 艦長室からだ。 微かに扉が開いていたらしい。 聞き慣れない高い男の声、そして会話。 「…艦長?」 好奇心には勝てず、 俺は扉の隙間から部屋を覗き見た。 薄暗い、殆ど明かりを点けない室内と二つの人影。 1人は艦長だ。 もう1人は…誰だ? 全裸で、然も後ろ向きだから誰かまでは判らない。 しかし、大きく背中を揺らしながら 甲高い声で喘ぐその人影の声には 確かに聴き覚えが有った。 『まさか…?』 目の前の事実から逃げ出したかった。 いや、間違い無く俺は逃げた。 気付かれない様にそっと部屋を後にし、 慌てて自室に駆け込んだ。 『まさか…。いや、しかし……』 信じられなかった。 信じたくなかった。 だが、声は間違い無く古代のものなのだ。 あいつは何をしていたんだ? どうして艦長と2人で、あんな薄暗い密室状態で? 然も…古代は服を全て脱いだ状態で…。 下らない。 実に下らない押し問答。 解っている筈だ。 男なら、大人なら。 ただ、それを認めたくないだけだ。 親友の、古代の事を思うと。 親友…? 俺と、古代は……。 |