| Data.5-10 |
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「虫が、良過ぎる…かな?」 美雪は昨晩の自身の発言を恥じている様だ。 今迄は子供と思っていたが、やはり成長している。 言わずとも解っているのだ。 美雪も、ヤマトの一員として。 「いや…そんな事は無いさ」 「お父さん…」 「頼りにしてるぞ、美雪。 レガシーの一族の為にも、アクエスの民の為にも 俺達は、ヤマトは、負ける訳にはいかん」 「…はい、艦長!」 「良い返事だ」 まもなく戦場に向かわねばならなくなる。 そうすれば、親子の時間は持てなくなるだろう。 ふと、そんな思いが去来し 古代はその大きな手で美雪の頭を優しく撫でた。 「お父さん…私、もうそんなに子供じゃないよ?」 「今だけ、お父さんの好きにさせてくれ」 「…仕方が無いなぁ」 そう云う美雪自身も満更ではなく 雪は初めて見る父親と娘との触れ合いに そっと目頭を押さえていた。 「じゃあ、雪…」 古代は静かに微笑むと、艦長帽を被り直した。 いよいよ、出陣である。 「お帰りを…お待ちしています」 「お母さん、必ず帰って来るからね! 敵を追い払って、必ず戻って来るから!!」 「えぇ、美雪…。 待っているから、無事に帰って来て頂戴。 約束よ…」 「うん、約束!」 確かな足取りで宮殿を後にする古代と美雪。 その後姿を只見送る事しか出来ない雪。 白い指が真っ赤になる程に強く拳を握り締め 二人の姿が小さくなっても見送り続けていた。 同じ頃。 「いよいよだな」 小林の言葉に、次郎と上条は力強く頷いた。 迷いは無い。 この美しい惑星を、母なる地球とよく似た惑星を 侵略者の手から守る為に。 「この星が平和になれば… 雪さんも地球に帰れるかも知れない。 その為にも、負ける訳にはいかないんだ」 「俺は諦めないぜ、決して」 「上条、小林…。 そうだ、俺達のヤマトでこのアクエスを守るんだ」 どんな敵が攻めてこようとも退く訳にはいかない。 此処には大切な人が存在しているのだ。 ヤマトは、今迄そうして戦い抜いてきた。 愛する人を守る為、大切な物を守る為に。 「俺達のヤマトを信じて戦うのみ。 古代艦長の下で。 さぁ、行こう! 上条、小林!」 「「おうっ!!」」 今は静かに波に揺られるヤマトの勇姿。 大いなる大宇宙を舞台に繰り広げられる戦いに備え 束の間の休息は充分に取れたかの様だ。 「技術班、機関室が意地を見せてくれたんだ。 今度は俺達がその期待に答えないと」 次郎はそう呟き、キッと空を睨み付けた。 其処に居るであろう、敵艦に向かって。 |