| [6] 明子との出会い |
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「兄貴、居る?」 明るい声が刑事部屋に響く。 知る人は知る、あの声だ。 大門だけが明らかに 不機嫌な表情を浮かべているのが印象的だった。 「居るなら居るって返事しなさいよね」 「五月蠅い」 吸っていた煙草を灰皿に押し付け ぶっきらぼうに声を上げる。 「何の用だ、アコ?」 「ひっど〜い! 折角可愛い妹が 兄貴の為にと着替え持って来てやったのに」 「何が『可愛い妹』だ」 新たに銜えられた煙草。 イライラを喫煙で 誤魔化しているのだろうか。 「あれ?」 ふと彼女の視線が周囲を捕らえる。 不思議な違和感。 いつもとは違う心地良い空気。 「用事が済んだら帰れ」 兄の小言も耳に入ってないのか、 急に彼女はキョロキョロと 周囲を見回し始めた。 「新しく誰か来たの? ねぇ?」 「…」 「教えてよ、兄妹でしょ?」 「喧しい。帰れ」 「教えてったら!」 「お、アコちゃん!」 丁度扉を開け、平尾が戻って来た。 「一兵さん」 「どうしたの? 定期的なアレ?」 「そう、アレなんだけどさ…」 話しながら急に視点がその後ろを捕らえた。 彼女は慌てて扉を全開する。 物凄い音が部屋中に響いた。 「五月蠅い!」 大門は噴火寸前だ。 だが彼女は全く気にする事もなく 平尾だけがどうしたモノかと ビクビクしていた。 「綺麗な女性。ハトさんの彼女?」 「…へっ?」 思ってもみない質問に 間抜けな声を上げる平尾。 彼女の視線は咲樹に向けられていたのだ。 丁度鳩村と談笑しながら刑事部屋へと 戻ってくる途中の姿だった。 「やだなぁ、アコちゃん。 そんなんじゃなくて彼女は刑事」 「刑事?」 「そう。我が軍団に加入した女刑事さん」 「婦警さんじゃないんだ」 「そうなのよね。で、名前は…」 「沢渡 咲樹」 答えたのは鳩村である。 完璧に良い所を狙った知能犯だ。 「ハトさん!」 「まぁ良いじゃねぇか。で、咲樹。 彼女はアコちゃん。団長の妹さんだ」 「そう言う事。大門 明子よ、宜しくね」 「咲樹です。宜しく」 初めて会った筈なのに 何故か居心地が良い。 2人は何故かそんな感情を抱いていた。 「私達、良い友達になれそうね」 明子の微笑みが印象的だった。 「ジョーにも困ったモンだな」 CORNER LOUNGEで 谷は静かにグラスを傾けた。 静かにグラスが傾き、 氷が綺麗な音色を奏でる。 「若いって奴ですよ」 サングラスの奧の瞳は笑っている。 松田は水割りを口に湿らせる。 「素直なんだが、 こと 異性に関しては意地になる。 女に慣れていない証拠ですよ」 「お前も若いだろうに、 老けた意見を言うなぁ〜」 谷は腹を抱えて笑った。 「思春期の子供じゃ有るまいし、 そんなモン意識してどうするのかね?」 「さほど変わりないんでしょうね」 「そんなもんかね」 「…多分」 谷は苦笑いを浮かべたままだ。 「捜査の邪魔さえなけりゃワシは構わんよ」 「彼女の実力は本物でしょう。 早くこの目で見てみたいモノです」 「お前さんがそんなコメントを発するとは 意外だな、リキ」 「…そうですね。 しかし彼女の能力の高さは 課長お墨付きです」 「そうだったな」 谷はもう一度グラスを奏でた。 「面白くなりそうですよ、おやっさん」 松田は悪戯っぽく笑っていた。 |