| [48] 本庁の真意 |
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沈黙する刑事部屋。 「済みませんでした…」 小さな声で、平尾が詫びる。 そして又沈黙。 大門は何も言わなかった。 それが、彼等には堪えた。 罵倒された方がマシだったかも知れない。 結局、大門の為にと思った事が 裏目に出てしまったのだから…。 「谷さん」 「はい?」 「自分はもう一度本庁に行って来ます。 皆は越川の足取りを掴んでくれ」 「はい」 出て行こうとする集団の中、 大門は一人を呼び止めた。 「リキ」 「はい?」 「お前はたった今から捜査から外れろ」 「…団長?」 これから、と云う時だった。 何故…。 「解ったな」 有無を言わせない勢いがあった。 松田は…黙って頭を垂れるしかなかった。 3月28日。 その日に取引が行われる。 2億ドルを用意しなければ 首都を破壊する。 「これが…」 「そうだ。脅迫状だ」 本庁の島貫は漸く重い腰を上げ、 越川逮捕までのシナリオを告げた。 「君達が越川を逮捕してくれた事は好都合だった。 もう少しで奴等の事を吐かせられたのだが…」 「…」 「越川逮捕で奴等が動き出したのは間違いない。 取引に応じなければ…」 「同封されたダイナマイトと時限装置。 これが実際に使われると…」 「そう言う事だ。 それだけは何としても防がねばならない」 「…そうでしたか」 大門は考えていた。 取引に応じるしかないだろう。 問題のダイナマイトの位置が掴めなければ。 越川は爆弾製造を行った事があるとの情報を キャッチしている。 だから組織は越川の釈放を要求してきたのだ。 どうするべきか。 まだ、光は見えなかった。 その少し前。 寂しそうに西部署を後にする松田。 後ろ姿を見つめ、仲間達は遣り切れなかった。 今回のチョンボの不始末を 松田一人に追わせたような気がしてならなかった。 「どうにかならないんですか、おやっさん?」 「これが大さんの親心なんだよ」 「親心?」 「大さんはな。 何としてもリキを本庁に送ってやりたいと考えてる。 これ以上奴に染みを付けさせる訳にはいかないんだ」 「でも…」 鳩村は何かを言おうとしたが 上手く言葉に出来ない。 咲樹は、大門と谷の言葉を黙って聞いていた。 『親心』 その意味が、理解出来た。 何故だろう。 何の抵抗も無く、大門の意図が解った。 ただ、守りたいのだ。 大門は、松田を。 「リキさん…」 やがて小さくなっていく松田の姿。 「さぁ、もう一分張りするぞ!」 谷の号令に、若者達はそれぞれ頷いた。 |