| [61] 恋愛論・2 |
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「惚れた女と惚れられた女 どっちを愛する?」 平尾に不意に聞かれた質問。 北条は唖然としたまま 平尾を見つめていた。 「どっちって…」 「へぇ、ジョーも真剣に 恋愛考える年になったか」 「からかってるんすか、一兵さん?」 「参考までに聞きたいんだよ」 「…判りません」 「はい?」 「自分にはまだ判りません。 …じゃ」 「ジョー!!」 北条はサッサとその場を後にした。 職場に残された見合い写真の束。 木暮は溜息を吐きながら それらをパラパラと漁る。 「…母親の思い遣り、なんだな」 「まぁ…解らんでもないですが」 答えたのは浜だった。 「あの凄惨な事件を経験した家族は 警察を許さないでしょうな。 犯人には逃げられ、 家族の大黒柱を奪われ…」 「そうだな…」 「まさかあの子が… 刑事の路を歩んでいたとは。 …正直、驚きました」 「父親の仇を自分の手で。 出来る決意じゃないよ、浜さん…」 「えぇ。 ワシはあの子の力になってやりたいです。 あの子を守りながら 必ず犯人を……」 「それは皆が思う事だ。 あの事件に関して知っているのは 俺と、君と、団長と… 多分、ジョーだな」 「ジョーが?」 「咲樹が唯一心を許した男だよ」 「…そうだったんですか」 木暮はフッと微笑むと ブランデーを差し出した。 「あの子を守ってやろう。 夢を叶える為に。 沢渡巡査の分も…」 「はい…」 グラスを受け取り、 浜も微笑んだ。 「……」 部屋で咲樹は父親の写真を見つめていた。 「父さん…。 父さん、いつも言ってたわね。 木暮課長の事。 団長の事…」 写真の父親は優しい微笑を浮かべて写っている。 「私ね、嬉しいんだ。 大門軍団の一員として いま、活動してるよ。 …夢が叶ったんだよ。 皆、とても優しい。 でも誰も私を特別扱いせず 平等に扱ってくれる。 それが嬉しいの…」 返事は無い。 だが、それでも咲樹は語り掛ける。 「父さん。 私ね、好きな人が出来たの。 …同じ職場の人」 優しい微笑が 父親を連想させる。 「逢わせたかった。 彼を、紹介したかった…」 写真を抱き締め、 咲樹は呟く。 「北条 卓さん。 私の初恋の人。 私に…力を与えてくれる人」 頬を朱に染め、 咲樹は更に呟いた。 「良いよね、父さん。 父さんと同じ職業の人を好きになっても …良いよね」 父親ならどう言ってくれるだろう。 きっと笑顔で頷いてくれるだろう。 そんな気がした。 |