| [71] 試練・1 |
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それは『不意』に訪れた。 「派出所が爆破されたっ?!」 電話を受けた沖田の声に 和やかだった刑事部屋が一瞬で凍りつく。 「…団長」 「現場へ向かってくれ」 「解りました」 急いで支度を始める部下達。 大門はふと視線を咲樹に移した。 彼女は特に何も変わった様子は無い。 大門の視線に気付いてはいない様だ。 「…団長?」 逆にその不自然さに気付いたのは 北条の方だった。 訝しげに大門を見つめるが 考えを切り替え、 準備を再開させる。 「行って来ます!」 元気に駆け出して行く咲樹。 するとその直後。 課長室から木暮が顔を出す。 「…課長」 「始まったのかも知れんな、大さん…」 「……はい」 「沢渡は… この『試練』を 乗り越えられるだろうか?」 木暮は険しい表情を浮かべたままだ。 「…課長。 咲樹は自分達の大切な仲間です。 彼女一人に 『試練』を味わせる気はありません」 大門の言葉に 木暮は漸く笑顔を浮かべた。 「酷ぇなぁ……」 鳩村は苦虫を潰したような顔を浮かべて 破壊された派出所跡を見つめていた。 「木っ端微塵…だね」 「ダイナマイトか? それとも…ニトロ?」 沖田は現場検証中の国立に問うが、 彼も明言は避けてきた。 「まだ調べてみない事には 何とも言えんな。 この破壊力、…タダモノじゃない」 「…咲樹さん?」 北条は咲樹の表情が 青褪めていくのを確認した。 「どうしたんだ、咲樹さん?」 「ジョー…」 声も、肩も微かに震えている。 「どうしたんだ、一体?」 「…似てるの。 父さんの事件と……」 「何だってっ?!」 答えたのは浜だった。 「間違いないのか、沢渡? 本当に巡査はこの爆破で…?」 咲樹の両肩を掴み 浜は真剣な目で彼女に問う。 「…似てるんです。 こんな、こんな…事って……」 「どう云う事なんですか、おやっさん?」 事情を知らない軍団員は 挙って浜に疑問をぶつける。 北条は何も言わず そっと咲樹を支えていた。 彼の目は真っ直ぐに 瓦礫の山へ向けられている。 「許さない……俺は…」 彼女にだけ聞こえる、 その程度の小さな声だったが。 「同一犯かも知れないと言うのなら… 尚更、許せない……」 肩から伝わってくる 彼の強い思い。 咲樹は、どう感じただろうか。 |