| [72] 試練・2 |
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爆殺魔の要求は何も無い。 不気味な位の沈黙期間。 そしてその正体も暗闇のまま。 懸命に聞き込みを行うが 不審者は浮かび上がってこなかった。 「…現場の巡査2人は即死。 酷いものです……」 「……」 浜の報告に 大門も言葉を詰まらせた。 「大さん…」 「…はい?」 「10年前の事件。 再度当たらせてもらえますかね?」 「…10年前。 咲樹の父親の、ですか?」 「はい。 沢渡が言っとったんですわ。 『父親の事件と似ている』と」 「…咲樹が?」 「あの子は… 現場を『見てる』んです。 父親が亡くなった瞬間に 『立ち会って』るんですよ。 多分…同一犯ではないかと…」 「…試練、ですか」 木暮の言葉が脳裏に甦る。 父親を奪った憎き犯人が 再び彼女の前に姿を見せたとしたら…。 「沢渡の状態は… 正直、芳しくありません。 状況によっては 捜査から外す必要も有るかと」 浜は厳しい表情を浮かべ 静かに語った。 「『信念』だけで心に受けた傷は 拭い切れません。 現に…現場であの子は 青褪めていた。 当時の記憶が蘇ったんでしょう…」 「浜さん…」 「正直、 ワシは見るに耐えませんでした」 「…咲樹の事は、 暫く、様子を見てみようと思います」 「…お願いします」 浜は一礼すると 刑事部屋から姿を消した。 「……」 『信念』だけでは 過去の忌まわしい記憶に立ち向かえないのか。 大門は苦しい選択を迫られていた。 要求も無く、そのまま2週間が過ぎた。 そして、突然。 大門軍団を嘲笑うかの様に 第2の爆破が予告も無く起こったのだ。 狙われたのはやはり派出所。 前回と同じ手口。 そして…。 「やはり10年前と同じ手口か…」 浜から助言を受けた国立が 愕然とした口調で零した。 「プラスティック爆弾だ。 かなり精巧に出来ている」 「…時限爆弾、ですね」 沖田も険しい表情を隠せない。 「最悪…だな」 「うん……」 鳩村と平尾も 流石にどうして良いか判らない様子だ。 「…ロクさん。 ホシの狙いは… 『爆破』そのもの、かも知れないね」 「…オキ。 やはりおまえさんもそう思うか?」 「…嫌でもそう感じるよ」 沖田がふと溜息を吐いた直後。 「咲樹さんっ?!」 北条の声が現場に響く。 過去からの恐怖心が 確実に彼女を蝕んでいた。 意識を失い、 力なく倒れる咲樹を 何とか北条が支えていた。 「……」 彼は黙って咲樹を見つめていた。 その目はまるで 何かを決意したかの様に。 |