No. 036:伝説の継承【それから】


大門軍団から、鳩村軍団へ。

それを見守ってこれたのは
単に運が良かったんだろう。

此処まで生きてこれた事に感謝しながら
俺は静かに其処に立つ。
移転した、嘗ての職場。

「変わってない…って感じだな」

苦笑を浮かべ、中に入ろうとしたら
黒い影が前方から向かってくる。
肩が当たった。

「何処に目をつけてんだよ!」
随分威勢が良いな。

思わず苦笑を浮かべた。
まるで、昔の俺の様じゃないか。

そいつは案の定、俺が笑うのが気に入らなかったらしく
激しく噛み付いてきた。

「何だよ、おっさん!」
「本当、まるで仔犬だな。
 ワンワンキャンキャンと喧しい」
「この…っ!」

「名前は?」
「はっ?」
「お前の名前」

「…橘。橘 数馬」
「橘、ね…」
橘はじっと俺を睨みつけている。

「何モンだよ、おっさん?!」
「何処の所属だっけ、若者?」
「鳩村軍団を知らないとはモグリだな、おっさん」
橘は勝ち誇った様な笑みを浮かべている。

「その団長さんに用事が有るんだけど
 案内してくれない?」
「おっさん…何者だよ?」

「警視庁警備部警護課所属、北条 卓。
 団長さんには『ジョーが来た』と
 伝えてくれれば良いよ」
「北条…?」
「大門軍団の北条を知らないとは、まだまだだな」

俺の笑みに、橘はカッとなったようだ。
怒りの為か、顔が赤い。

「さて、じゃあ案内してくれよ。
 こっちは急ぎなんだ」
俺は込み上げてくる笑いを抑えるのに必死だった。

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