Glad Eye Act.1

それはふとした事が切っ掛けだった。
バーのカウンターで一人カクテルを嗜む女。
その横顔が気に入った。

「?」
バーテンが女にカクテルを差し出す。

「アチラ様からです」
女は指された方向に目をやる。
其処には少しめかし込んだ男が座っていた。

クールだが親しみの有る笑み。
女は男に興味を示し、席を移した。

「よばれるわ、色男さん」
グラスを重ね、女は微笑んだ。
カクテルに負けない、甘い甘い夜。
2人はそんな夜のひと時を楽しんだ。

* * * * * *

「機嫌良いねぇ、ハトさん。
 どうしたの?」
すかさず平尾が探りを入れる。

「どうせ良い女とでも会ったんだろ?」
「オキ、正解」
鳩村はそう言うとおどけて見せた。

「いつもの悪い病気かぁ〜」
「ガキは黙ってろ、ジョー」
「誰が『ガキ』っすかっ?!」
食って掛かろうとする北条を平尾が止める。

「で、どんな女?」
「う〜ん、秘密を抱いた感じ…かな?」
「大人の女か。良いねぇ」
「オキさんまで…」
北条は平尾に押さえつけられたまま
呆れて溜息を吐く。

「お子様は黙ってな」
「だから誰が…っ?!」
「暴れるな、ジョーっ!!」
刑事部屋は平和なものだ。

その平穏を一本の電話が揉み消した。
「はい、西部署…」
素早く電話に出た浜が状況を備に記憶する。

「大さん、射殺事件です」
「現場は?」
「えっと…」
浜は電話の内容を全員に報告する。

「直ぐに現場に急行してくれ」
刑事達は頷くと足早に部屋を後にした。

* * * * * *

「ライフルで一発か…」
標的を寸分の狂い無く打ち抜いた弾丸。

「ホシは相当の腕前だな」
「それにしても仏さんが外務省関係者とは
 なんともややこしいヤマになりそうだな」
浜は腕組みをし、唸っている。

「あのビルから狙ったみたいですね」
沖田が肉眼で射撃位置を見つめてみる。

逆光で少々見難いが
確かに絶好の位置かも知れない。

「それにしても一撃とは…」
「犯行声明も無しですよ。
 ホシの狙いは何なんですかね?」
「それを調べるのが俺等のお仕事。
 さぁ、一兵!」
沖田に煽られ、平尾は渋々腰を上げる。
「解りましたよ、オキさん。
 ほら、行くよ。ジョー」
「はい」
「ハト、俺達も…」
沖田はそう言い掛けて止めた。

鳩村はじっと射撃位置を見つめている。
「…絶対捕まえてやるぜ、スナイパーさんよ」

「ハト」
「あぁ、解った」
鳩村はそう言うと刀に飛び乗った。
手掛かりを得る為に。
心地良いエンジン音が後押しする。

だが、その現場を見つめる人影が存在していた事に
彼等は誰一人気付いては居なかった。

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SITE UP・2005.3.13 ©森本 樹

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