| Glad Eye Act.3 |
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「証拠となる物品はまるで無しですね。 ライフルの弾丸も有り触れた物でしたし…」 鑑定の国立も頭を痛めている。 「プロのスナイパーか」 「そんなのが何の為に 仏さんを狙ったんですかね?」 「金か、情報が目的か。 何れにせよ憶測の域を出ないな」 「裏に何かが潜んでるんじゃ…?」 「そっちの線から辿るか」 「じゃあゴロウ達は黒幕の線を当たってくれ」 「はい」 「了解!!」 「ロクさん。済みませんがもう一度…」 「解りました。 現場を再度検証しましょう」 各人がバラバラと刑事部屋を去る。 その中で鳩村だけは難しい顔をしたまま 机を見つめている。 「ん? ポッポ、どうした?」 「団長。殺された職員の方、 当たって見ても良いッすか?」 「…解った」 「済みません、行って来ます!」 鳩村はそう言うと外務省へと向かった。 外務省の入り口で鳩村は 確かに誰かの視線を感じた。 「?」 突き刺すような視線。 じっと鳩村を見つめている。 針のような感触を肌に受ける。 「誰だ?!」 そのまま追い駆けるが 影は素早く移動し、やがて気配は消えた。 「狙われてるのはやっぱり此処か…」 鳩村はもう一度周りを凝視し、 省庁の中に入っていった。 その様子を窺う影。 影の口元は微かに笑っていた。 意味深な笑いだった。 「じゃあ殺された職員の方は…」 「えぇ。密入国者の担当でして」 「密航絡みか…」 鳩村が掴んだ情報はそれだけだった。 だが、何かが騒ぐ。 心の中で。 「密航…。やはりヤーさんが絡んでるな」 省庁を後にし、鳩村は刀を西部署に向かわせた。 「問題はスナイパーだ。 雇ったのか、それとも…?」 あの腕前は並の者では無い。 事件が続発していない事からも 特別な存在を意味している。 外務省から西部署に向かう道中。 先程掴んだ情報が 激しく脳裏をグルグルと過ぎる。 そして、確かに感じた気配。 殺気の中、微かに感じた親しみ。 此方が必死に追っているホシは 案外此方の事を熟知しているのかも知れない。 「割の合わない事件になりそうだ」 情報戦では既に出遅れている。 相手の腕は相当に立つ。 不利なのは重々承知だ。 「だが」 そう、『だが』。 自分達は『刑事』なのだ。 凶悪犯を前にして、負けを認める訳にはいかない。 「この後には素敵な時間が待ってるんだし、 さっさと片付けないとな…」 此処最近、頗る調子が良いのは バーバラ、彼女と出会ったからだ。 彼女と過ごす束の間の時間。 語らう時間が、自分を癒してくれる。 「良い女を待たせるのはそれだけで罪だからな。 本当、このまま何事も無く 犯人逮捕で終わらせたいものだぜ…」 凶悪犯を追う刑事の姿の狭間で顔を覗かせる自分。 そんな無邪気で少年の様な一面を引き出し、 認め、癒してくれる存在に早く会いたい。 鳩村の心は いつの間にかバーバラの姿に染まっていた。 |