| Perfect Crime・12 |
|---|
|
ベッドの上でのんびりと寛ぐ北条。 ふと足音が聞こえ そちらの方を振り向く。 「一兵さん? やけに早…」 「平尾刑事でなくて残念だったな」 「…多田野刑事部長」 「ほう、覚えてたか」 「…またしょっ引く気ですか?」 「状況が変わってね」 「?」 「付いて来て貰おうか?」 目の前に拳銃を差し出し、 多田野は微笑んだ。 「お前…」 「後は犯人の自殺で終焉だ。 完璧な計画だよ」 漸く思い出した。 現場で聞いたあの声を。 「お前が…」 「やはり覚えていたか」 多田野の拳銃は真っ直ぐ 北条の心臓を狙っている。 「此処で死ぬか? それとも…」 「行けば良いんだろ?」 北条は体を起こす。 「俺は逃げない。 少し時間をくれ。 …点滴針が」 「ふん、良いだろう…」 多田野が後ろを向いた瞬間 北条は彼が指定した場所を 紙にメモした。 『俺を…見つけてくれ……』 懸命な思いを込めて。 その後二人は 非常階段から 静かに病院を抜け出した。 「ジョーが居ない?」 「済みません、団長!」 平尾の電話で、 ホシが本格的に動き出した事を知った。 「口封じか」 「それしか考えられない」 「…くそ、何処だ?」 「一兵、何か残してないか? ヒントとなる物を」 「…これは。 数字、ですね…。 その前に『シナガワ』…」 平尾が番号を読み上げる。 「廃ビルの場所じゃないのか?」 「あぁ、もう直ぐぶっ壊す予定の…」 松田の閃きに源田が答える。 「じゃあジョーは其処に?」 「ホンボシ、多田野と一緒にな」 「よし、行くぞ!」 大門の声に全員が力強く頷いた。 「こんなビルで自殺かよ。 直ぐに疑われるぜ」 北条は懸命に時間を稼ぐかのように 捲くし立てていた。 一瞬の隙を突いて書いたメモ。 走り書きのそれに誰か気付いてくれるだろうか。 正に神頼みだった。 「逃走の際、諦めて自殺。 まぁ、そんなものだろう」 「何故彼女を…加納さんを殺した?」 「用済みだからさ」 「何だって…?」 「お前もそうだ、北条君。 用はもう済んだ。 あとは消えてくれれば良い」 「冗談じゃない。 そんなご都合主義の為に 死んで堪るか!」 「じゃあ飛び降りるかね、 此処から…」 「……」 銃が迫ってくる。 一発。 左肩を掠める。 病着が一瞬に真紅に染まる。 「…多田野……」 「次は外さない。 頭だ」 「……団長」 北条が覚悟を決めたその時。 一発の銃声が轟いた。 ゆっくり目を開くと 多田野は床に伏せていた。 絶命していたのである。 「…?」 「無事か、ジョー?!」 「団長…?」 撃たれた左肩を押さえ、 北条は暫し呆然としていた。 「終わったぞ、ジョー。 お前は無罪放免だ」 「俺…助かったんですか?」 「あぁ。多田野がホンボシだと本庁が認めた。 もう大丈夫だ…」 ホッとして全身の力が抜けたのか、 北条はそのまま大門に倒れこむ。 「おい、ジョー…」 「助かった…」 「ふ…」 大門は大きな手で彼の髪を撫でると 右肩を担ぎ、ゆっくりと歩き出した。 |