| Perfect Crime・5 |
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「莫迦じゃないのっ?!」 明子は新聞を読むなり ヒステリー気味に怒り出した。 「ジョーさんが殺人犯な訳ないじゃん! ね、そうでしょ 兄貴っ?!」 「…五月蝿いな。黙ってメシ食え」 「ひっど〜いっ!! 部下のピンチなんだよ? 解ってんの?」 「はいはい、解ってますよ」 「じゃあ何かウルトラCな秘策でも あるんでしょうね? 一発逆転の凄い奴」 「…はいはい、黙ってメシ位食わせてくれ」 「兄貴っ!!」 明子の怒りも尤もだ。 当然、何も考えていない訳がない。 そもそも今回の事件は『何処か』出来過ぎている。 見えない壁。 それさえ崩せば北条は無罪放免だ。 先ずは北条の回復が最優先なのだが…。 「…ふぅ」 思わず溜息が口を吐く。 彼の非番時に起こった事件だけに アリバイを証明する事が難しい。 誰でも良い。 彼が『シロ』であるアリバイを持っていてくれれば。 ジリリーーーン 「電話」 「近くなんだから自分で出てよ! 全くこの兄貴は…」 ブツブツ言いながらも電話を取る明子。 「はい、大門で御座いますが…。 はい。はい…解りました! 直ぐに兄に代わります!!」 「どうした?」 「どうしたもこうしたも… あぁ、早く出てっ!!」 明子のうろたえぶりが普通じゃなかった。 「代わりました。大門です」 電話は警察病院の院長からだった。 「だ、大門さん! 大変なんです。北条君が…」 「北条が、どうかしたんですか?」 「今朝方意識を取り戻したんですが 東部署の連中、 制止を振り切って彼を連行したんですよ」 「東部署が?」 「彼は承知の通り絶対安静の身なんです。 取調べなんて耐えられないんですよ。 頼みます、大門さん。 彼を連れ戻して下さい!」 「解りました。 何とかしてみます」 「済みません。我々の力不足で…」 「先生…。御報告有り難う御座います」 大門は静かに受話器を置いた。 「多田野…だったな」 「兄貴…」 「署に向かう。上着!」 「は、はいっ!」 慌しく支度をする明子の後姿を 大門は静かに見つめていた。 『ジョーさんが殺人犯な訳ないじゃん!』 明子が自分の気持ちを代弁してくれた。 そうだ、彼は罠に嵌められている。 救わなければ。 「行ってくる」 身支度を済ませ、 大門は家を飛び出した。 その後姿を心配そうに明子が見送る。 「ジョーさん…」 北条に降りかかった災難は まだ晴れそうにもなかった。 |