| 終わらない悪夢・2 |
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源田は自室から一歩も出られない状況下に遭った。 正しくは声すら上げる事も叶わない状況である。 朝になり、態々着いて来た北条が世話を焼き そこまでは何も変化はなかった。 突然の訪問者さえ居なければ。 ドアベルに反応し、ごく自然に北条は扉を開けた。 源田が着替えをしていた為である。 直後 源田は彼の絶叫を聞き、慌ててその場へ向かった。 額から流れる夥しい血液の量から 不意打ちが如何に過激なものであったかがを伺える。 源田自身も何かを叫んでいた様だが 何と言ったのかまでは覚えていない。 ただ、必死だった。 タオルを引き裂き、包帯代わりに頭部に巻いてやる。 今はまず止血する事が最優先だ。 「大丈夫か、おい?」 「……」 北条は何かを話そうとしているらしいが 口をパクパクと動かすのが精一杯で 言葉はおろか、音さえも発する事は出来ない。 殴られたショックからだろうか。 「何だ、こいつ? いきなり顔出すから殴っちまったよ」 「…何だとっ?!」 抱き留めていた筈の北条の体から フッと力が抜けた。 体重が両腕に重く掛かる。 だか、荒いなりにも呼吸はしており 最悪の事態だけは免れそうだ。 源田は賊から彼を守るように抱きしめ 睨み付けていた。 「スケを何処に隠した?」 賊の1人がこう吐き捨てる。 「スケ? 何の事だ?」 「とぼけるんじゃねぇよ。 お前さん、刑事なんだろう?」 源田には内容が理解出来ない。 『スケ』、つまり女と刑事にどんな繋がりがあると言うのか。 「昨日逮捕された筈のスケが 逃げやがったそうじゃねぇか」 「……昨日?」 この言葉に、漸く源田は合点が行った。 賊が追っているのは彼女の事だ。 しかし、その理由までは図り知る事が出来ない。 「何故彼女を追う? 警察に任せず、自分達で追う理由は何だ?」 「借金だよ」 「借金?」 「借金を踏み倒して逃げやがったから こうして追い掛けてるんじゃねぇか」 借金? 踏み倒す? 逃げ出した? どれだけ脳をフル回転させても サッパリ見当がつかない。 「また来るぜ」 男はそう言い残すと 意外にも呆気無く、源田の家を後にした。 彼の心に、後味の悪さだけを残して。 |