終わらない悪夢・2

源田は自室から一歩も出られない状況下に遭った。
正しくは声すら上げる事も叶わない状況である。

朝になり、態々着いて来た北条が世話を焼き
そこまでは何も変化はなかった。
突然の訪問者さえ居なければ。

ドアベルに反応し、ごく自然に北条は扉を開けた。
源田が着替えをしていた為である。
直後 源田は彼の絶叫を聞き、慌ててその場へ向かった。

額から流れる夥しい血液の量から
不意打ちが如何に過激なものであったかがを伺える。
源田自身も何かを叫んでいた様だが
何と言ったのかまでは覚えていない。

ただ、必死だった。
タオルを引き裂き、包帯代わりに頭部に巻いてやる。
今はまず止血する事が最優先だ。

「大丈夫か、おい?」
「……」

北条は何かを話そうとしているらしいが
口をパクパクと動かすのが精一杯で
言葉はおろか、音さえも発する事は出来ない。
殴られたショックからだろうか。

「何だ、こいつ?
 いきなり顔出すから殴っちまったよ」
「…何だとっ?!」

抱き留めていた筈の北条の体から
フッと力が抜けた。
体重が両腕に重く掛かる。
だか、荒いなりにも呼吸はしており
最悪の事態だけは免れそうだ。

源田は賊から彼を守るように抱きしめ
睨み付けていた。

* * * * * *

「スケを何処に隠した?」
賊の1人がこう吐き捨てる。

「スケ? 何の事だ?」
「とぼけるんじゃねぇよ。
 お前さん、刑事なんだろう?」

源田には内容が理解出来ない。
『スケ』、つまり女と刑事にどんな繋がりがあると言うのか。

「昨日逮捕された筈のスケが
 逃げやがったそうじゃねぇか」
「……昨日?」

この言葉に、漸く源田は合点が行った。
賊が追っているのは彼女の事だ。
しかし、その理由までは図り知る事が出来ない。

「何故彼女を追う?
 警察に任せず、自分達で追う理由は何だ?」
「借金だよ」
「借金?」
「借金を踏み倒して逃げやがったから
 こうして追い掛けてるんじゃねぇか」

借金?
踏み倒す?
逃げ出した?

どれだけ脳をフル回転させても
サッパリ見当がつかない。

「また来るぜ」
男はそう言い残すと
意外にも呆気無く、源田の家を後にした。

彼の心に、後味の悪さだけを残して。

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SITE UP・2009.6.22 ©森本 樹

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