アタシ達にも説明してくれないと…」
「十六夜は世が世なら
玄武帝の次の帝になっていた人物だ。
その暁には【白虎帝】と
名乗る事になっていた」
「白虎……」
「つまり、私に繋がるあらゆるものを
この世から消すと言いたいのだろう」
朔耶の説明を裏付ける様に十六夜が補足した。
だが、その補足も又 意味が解り難い。
「六条の奴は何処迄も
十六夜を束縛したいんだろうな」
「ストーカーみたいだな。
此処迄来ると…」
「そう云う事さ。
六条の奴は昔からそうだった。
或る時を境にして
異常に十六夜に、九条尊に執着した」
昔を思い出したのだろう。
苦虫を潰した様に朔耶は顔を顰めた。
「朔耶」
「ん? 何だ、十六夜?」
「
奴等の目を欺く術は有る」
「マジでかっ?!」
寿星は興奮して声を上げるが
すかさず乾月から肘鉄を食らった。
「百鬼夜行は私が引き受けよう」
「えっ?!」
「あんな化け物を、どうやって?!」
寿星と繊が再び同じタイミングで声を上げた。
神楽は黙って十六夜を見つめている。
「六条は私の動向に注目している筈。
私が百鬼夜行と相対している間は
意識が其方に集中していると思われる」
「成程。その隙を突くのか」
「左様」
「しかし、一人で百鬼夜行に挑むのは…」
「一人では無い」
「?」
「その為には祭巫女の力が必要。
彼女等の舞と唄で
白虎を封印から解き放つ」
神楽は静かに、しかし確りと頷いた。
彼女は最初から
十六夜の作戦を理解していたのだ。
「
代々八乙女の秘宝として
伝えられております。
其方迄は私が御案内致しますわ」
「宜しく頼む、神楽」
十六夜の作戦は部隊を二つに分ける事だった。
百鬼夜行を食い止める係。
そして、
「私は
あの場所は表家業で
何度も訪れた事が有る。
土地勘ならこの中で一番有る筈だ」
「俺も行こう」
「鳴神…」
「暴れたいんでね」
鳴神はそう言ってシニカルな笑みを浮かべた。
乾月も又 微笑を浮かべている。
「決まりだな。
寿星、お前は十六夜達と
「兄ぃ…」
「お前の属性は神楽と相性が良い。
然も
十六夜と、神楽達を…護ってやれ」
「…はいっ!!」
神楽を守護する人を与えられ
寿星の目の色が途端に変わった。
彼の性格を把握している朔耶らしい采配に
十六夜と乾月は顔を見合わせ
フッと笑みを漏らした。