No. 006:海鳥

散文 100のお題

千里は八乙女やおとめ 神楽かぐらと楽しそうにアルバムを眺めていた。

「そうそう。この写真ね」
「懐かしいですわね。
 確か一緒に旅行へ出掛けて…」
「海を見るのが初めてだったのよ。
 主人も、望央も」
「弦と舞耶もですわね。
 それにしても…良いタイミングで」
「流石は朔耶。
 カメラマンだけある!」
「一応、風景専門なんですけどね…。
 朔耶さんは」

神楽は苦笑を浮かべている。

「望央ちゃんがカモメやウミネコに懐かれて
 海鳥達が群れになってしまって…。
 少し大変でしたけど
 素敵な思い出になりましたわね」
「あの時ハヤトが間を執り成してくれたから
 本当に助かったわ」
「望央ちゃんの【能力】に関して
 殿方が意識を向けたのは…
 あの一件から、でしたわよね?」
「確かに。
 主人はまぁ、解るとして…
 まさか朔耶までとは思ってなかったけど」
「正直、私も朔耶さんが動いた事には
 驚きを隠せませんでした。
 弦に関しては
 ほぼ口を挟まないだけに」
「あら。放任主義?」
「ですよ。
 舞耶…に関しては、まぁ…
 八乙女の事なので
 口を挟み辛いですけど」
「相変わらずなのね、八乙女は」
「えぇ。ウンザリする位
 相も変わらず、発展の無い事で」
「やれやれ」
「千里」
「なぁに、神楽?」
「…弦。弦耶の事、宜しくお頼み申します」
「改まって何よ?
 当たり前でしょ?
 弦耶も舞耶も、私達の大切な子供なんだから」
「千里…」
「任せて頂戴、神楽!
 弦耶の居場所は、私達がちゃ~んと守るから。
 【蓮杖】が必ず、ね」

千里の微笑みに、神楽も笑みで返した。
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お題提供:泪品切。(管理人名:yue様)