喉、丈夫だよね」
「5時間カラオケで歌い通しても
声潰れないんだもんね!
凄いよ!」
「ヒトカラで慣れてるだけだって」
「またまたぁ~!」
褒められて照れ臭い望央。
舞耶はウキウキしながら
彼女を見つめている。
「母様も喉強いんだよね、確か」
「そうなの? 神楽小母さんが?」
「よく家で歌ってるわよ。
然も結構な大声で」
「小母さんもカラオケ好きなのかな?
母さんからはそんな話、聞いた事無かったけど」
「どうだろ? 母様は詩吟の方だから」
「成程ね~。
カラオケのジャンルで詩吟って入ってたかな?」
「発声方法が違うって聞くけど
実際はどうなんだろうね?」
「うん」
女子2人がスマートフォンで
必死に選曲ジャンルを調べている。
それを遠巻きに眺めながら
一人煙草を吸っているのは弦耶だ。
「弦兄、歌わないの?」
「俺? 俺は聞く専門」
「あれ? 弦って歌うの嫌いだっけ?」
「いや。今はそんな気分じゃねぇだけ」
「そうなの?」
「弦兄は、さぁ~」
舞耶はニヤニヤしながら
弦耶に視線を送った。
「望央ちゃんの歌声の大ファンなんだよね~!
だから延々聞いてたいんだってさ」
「えっ?!」
「望央! んな事言うなっ!!」
「スマホに望央ちゃんのボイスファイル保存して
寝る前に聞いてたりしてたもんね~」
「舞耶ッ!!」
「……弦」
赤面して大慌てな弦耶の姿が滑稽で
望央は思わず笑ってしまった。