朝焼けを見つめていた。
「兄上…」
自身の兄、
「やはり、動き出しましたな」
過去の戦いを思い返す。
六条親王が最期に見せてくれた
【宿敵】の存在。
この都を脅かす【影】。
「その思惑が、百鬼夜行をこの地へと呼び寄せた」
十六夜の視線は【
「あの子達を、宜しくお頼み申し上げます。
神獣 玄武よ」
この蓮杖神社に身を隠し
都の北を守護する四神結界の要。
神獣 玄武。
淡い光がチカチカと輝いているのが
遠目からでもよく見えていた。
望央、そして弦耶を思う十六夜の
【父親】としての心情に
玄武は共鳴してくれたのだろうか。
此処は何処だろう?
見た事の無い建物だらけ。
汚れた着物を身に纏った子供達が
私の周りで笑っている。
これ、多分…昔の時代、だよね?
だから見覚えの無い物ばかり。
やがて、ゆっくりと引き戸が開かれて。
「…漸く、【貴女】に辿り着きました」
逆光で顔が判らない。
旅人らしき男の人がそう言って…。
「…夢、でしたわ」
望央は上体を起こすと溜息を吐いた。
「あれ、誰なんだろう?」
声しか判断出来る材料が無い。
しかし。
「肝心の【声】が
少し不鮮明な聞こえ方してたんだよなぁ…。
何でだろ?」
気になる夢の内容。
望央は暫く考え込んでいた。
「おい」
「今、考え中」
「禊。急がなくても良いのか?」
「?!」
いつの間にか、弦耶も起きていたらしい。
「シャワー浴びてから行くんだろ?」
「そ…そうだけど」
「俺も行くわ」
「…え?」
「汗やら何やらでドロドロだもんな。
俺もお前もさ」
部屋に来た時と同様
慣れた姫ダッコスタイルで
弦耶は望央を抱えたまま
器用に扉を開けて浴室へと向かった。
「弦、待って!
せめて何か着て!
若しくは私に着せて!!」
「どうせ脱ぐんだし、要らんだろ」
「要るわよ!
見られたらどうするの?!」
「大声出してる方が
見られる確率高いだろうに」
「…っ!!」
結局、一糸纏わぬ姿で
二人は浴室へと向かうのだった。