漣はセルファーの緊急シグナルに
驚いた声を上げた。
「エラー? まさか、こんな時に限ってっ?!」
必死にキーボードで操作するが
セルファーの暴走を食い止める事が出来ない。
「拙い、拙いよ!
このままじゃ丈がっ!!」
彼の生存を自分に託して
戦地に向かった仲間達。
そんな思いを踏み躙る事になってしまう。
何よりも丈の命が…。
「死なせないっ! 絶対、僕が守るんだ。
約束したんだっ!!」
セルファーは漣の指示を無視して独自の動きを示す。
それを食い止める為に漣も又 戦っていた。
丈を救う為に。
「久しぶりだな、セイリュウ」
「…その声、クラブか」
2人は一定の距離を保ったまま相対した。
クラブはマグナム型レーザーガンを2丁装備している。
「…今回ばかりは許さねぇぞ」
「それは自分ではなく
スペードに言って欲しいものだな」
「黙れっ!」
疾風は素早く五鈷杵を構えた。
迷う事無く射撃するが
クラブは間一髪の所でそれをかわす。
『…流石に動きは洗練されているな。
一撃で仕留められる相手じゃない』
敵ながら疾風はクラブの素質を認めていた。
だからこそ、負ける訳にはいかないと
いつも自分を叱咤激励してきた。
『こいつだけは俺が倒す。
護る者が出来た今、俺は誰にも負けない。
負けられない……』
疾風は澄んだ瞳でクラブの動きを追った。
「アイツは…」
轟は自分の宿敵の姿を確認した。
愛する女を殺し、自分の目の前で食った少年。
間違いない。
「…今こそお前の敵を」
轟はそう呟くと躊躇う事無く
パラサイダーの集団に突っ込んで行った。
目標は軍師。
そう、轟の恋人を殺害したのは
まだ幼い頃のダイヤだったのだ。
ダイヤはその事を覚えてはいないだろう。
ただ、癪に障っていた。
ことごとく自分の策を破る亜種人類。
このレジスタンスさえ潰せば後は楽だと言うのに。
「生け捕りにする必要は無い! 殺せっ!!」
ダイヤの指示でパラサイダーが動く。
一糸乱れぬ動きだが轟の攻撃を防ぐ壁にはならない。
獣のような咆哮をあげ、
轟は拳を武器にパラサイダーを粉砕していく。
彼の五鈷杵はアルティメットグローブとして
拳をガードしている。
只のパンチでもパラサイダーを
余裕で粉砕出来るのだ。
「…ビャッコ、か」
ダイヤは歯噛みしながら
鬼神の様な轟の強さを見つめていた。