激突・2

タバサ編・4

「え?」

漣はセルファーの緊急シグナルに
驚いた声を上げた。

「エラー? まさか、こんな時に限ってっ?!」

必死にキーボードで操作するが
セルファーの暴走を食い止める事が出来ない。

「拙い、拙いよ!
 このままじゃ丈がっ!!」

彼の生存を自分に託して
戦地に向かった仲間達。
そんな思いを踏み躙る事になってしまう。
何よりも丈の命が…。

「死なせないっ! 絶対、僕が守るんだ。
 約束したんだっ!!」

セルファーは漣の指示を無視して独自の動きを示す。
それを食い止める為に漣も又 戦っていた。

丈を救う為に。

* * * * * *

「久しぶりだな、セイリュウ」
「…その声、クラブか」

2人は一定の距離を保ったまま相対した。
クラブはマグナム型レーザーガンを2丁装備している。

「…今回ばかりは許さねぇぞ」
「それは自分ではなく
 スペードに言って欲しいものだな」

「黙れっ!」

疾風は素早く五鈷杵を構えた。
迷う事無く射撃するが
クラブは間一髪の所でそれをかわす。

『…流石に動きは洗練されているな。
 一撃で仕留められる相手じゃない』

敵ながら疾風はクラブの素質を認めていた。
だからこそ、負ける訳にはいかないと
いつも自分を叱咤激励してきた。

『こいつだけは俺が倒す。
 護る者が出来た今、俺は誰にも負けない。
 負けられない……』

疾風は澄んだ瞳でクラブの動きを追った。

* * * * * *

「アイツは…」

轟は自分の宿敵の姿を確認した。

愛する女を殺し、自分の目の前で食った少年。
間違いない。

「…今こそお前の敵を」

轟はそう呟くと躊躇う事無く
パラサイダーの集団に突っ込んで行った。

目標は軍師。
そう、轟の恋人を殺害したのは
まだ幼い頃のダイヤだったのだ。

ダイヤはその事を覚えてはいないだろう。

ただ、癪に障っていた。
ことごとく自分の策を破る亜種人類。
このレジスタンスさえ潰せば後は楽だと言うのに。

「生け捕りにする必要は無い! 殺せっ!!」

ダイヤの指示でパラサイダーが動く。
一糸乱れぬ動きだが轟の攻撃を防ぐ壁にはならない。

獣のような咆哮をあげ、
轟は拳を武器にパラサイダーを粉砕していく。

彼の五鈷杵はアルティメットグローブとして
拳をガードしている。
只のパンチでもパラサイダーを
余裕で粉砕出来るのだ。

「…ビャッコ、か」

ダイヤは歯噛みしながら
鬼神の様な轟の強さを見つめていた。
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