迫り来る脅威

人類共存編・4

レジスタンス研究所内。
漣は、以前入手した謎の衣類についての解析を
漸く完了する事が出来た。

脅威の事実が判明した。

「人工鉱石を繊維化した素材…。
 こんな技術をパラサイダーが持っていたと言うのか?」

唸りながら解析データを睨み付ける。

「やっぱりそうだ。
 古代亜種人類が持ち合わせていた技術と似通ってる」

今、自分達が着用しているテクノライト製防具よりも
更に戦闘に適した素材。

これを改良する事が出来れば、更に味方が有利に動ける筈だ。

「やって…みるかな?」

漣は最後の時間が近付いている事を感じ取っていた。

丈は必ず人類との強固な関係を築いて帰って来る。
最終決戦は、目の前にまで迫って来ていた。

「団長に助けてもらってから今日まで…。
 長いようで短い時間だった」

瞳を閉じ、そっと思い出す恵一の姿。

「団長…。必ず、勝ちますよ」

漣はそっと誓いを呟くと
険しい表情を浮かべて自身の戦いを開始した。

* * * * * *

他の場所からやって来た友達に『花』を見せてあげたいと思った。

いつもの、自分のお気に入りの場所。
其処だけは昔から色取り取りの花が絨毯の様に咲いている。

少女は夢中になって花を選んでいた。
忍び寄る軍勢など気付く訳も無く。

* * * * * *

その時、けたたましいサイレンが鳴り響いた。

「…?」
「パラサイダーの襲来だ」
「パラサイダーが…」

モニターに移るのは集落の正面。唯一の出入口。
巨大な門がゆっくりと閉じていく。

『あの巨大な門で攻撃を防いできたのか…』

丈は険しい表情でモニターの映像を見つめていた。

「ん?」

その目に映る、女性と子供達の映像。
泣いて何かを懇願する姿。

尋常ではないその雰囲気に、思わず彼はリーダーの顔を見た。

「…どうした?」
「門兵と揉めているのか?
 あの騒ぎは一体……」
「…此処からでは良く判らんな。
 我々も行こう」

丈はゆっくりと頷き、その後を追った。

* * * * * *

近くで見ると確かにその扉は頑丈そうな造りだった。
一度閉じればそう簡単には開かないだろう。

『しかし、空からの攻撃には全く無意味だ…』

自身も飛行攻撃を得意としているだけに
丈はこの鉄壁の守りの『弱点』を見抜いてしまっていた。

四天王であれば、間違いなく『其処』を突いて来る。

「長…」
門兵の1人が事情を簡潔に説明した。

扉を閉めてから、或る少女の行方が判らなくなったらしい。
どうやら外に出て行ったきり戻って来ていないのだ。

「じゃあ…その子が帰って来たらどうするんですか?」
「どうするも何も無いだろう?
 この扉は絶対に開けられない。
 皆が食われてしまっては元も子もないだろう」

「…見殺しにするって事なんですか?」
「余所者にとやかく言われたくないよ」

門兵は話を聞き入れる態度ではない。
丈は思わず溜息を吐いた。
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