崩壊への序曲

最終血戦編・17

突如、地面が激しく揺れ出した。
漣は手首に装着していた小型モニターで
状況を確認している。

「さっきのソリティアの話だと
 この惑星からエネルギー体を取り出して
 勾玉化したのって…
 遥か未来、だよね?」
「確かそう言ってたな」
「でも実際、勾玉は今
 僕達が所持している…よね?」
「あぁ…」
「何だよ漣! まどろっこしいなぁ」
「未来の僕達は勾玉を身に宿した直後
 反乱を起こして惑星を脱出した。
 そして、ソリティアとフュンフを除いて
 僕達が辿り着いたのは…」
「過去…だな」
「もしそこで歴史修正が行われたのだとしたら…
 過去の時点で勾玉化したエネルギー体は
 この惑星から取り出されている事になる」
「多分…歴史修正が完了したのは
 丈が過去に飛んで、
 私達に合流してからだと思うわ。
 そこで四種の勾玉が揃うもの。
 丈自身がそう言ってたから…」
「それじゃあ…どうなるんだ?
 もっと解り易く説明してくれよ!!」
「惑星崩壊は、遠い未来の話じゃない。
 昨今の極端な天候異常も
 その前兆だったって訳だ」

疾風の言葉に、全員の表情が一斉に強張った。

「戻すしか、ないよね。
 勾玉を。…いや、エネルギー体を」
「でもどうやって?
 やり方なんて分かんねぇよ!!」
「私、知ってる…かも」
「「?!」」
「だからこその【神子】か」

疾風の声に美雨は笑みを浮かべた。

「フュンフさんが導いてくれる」
「じゃあ、指示を頼む」
「皆はさっき四天王と戦っていた場所へ向かって!
 この塔は魔法陣の形で配置されているの。
 スペードがそう教えてくれたわ」
「独特な建て方だと思ってたら
 そんな仕掛けになっていたのか…」
「塔が壊れちまってるんだけど…。
 俺が戦ってた場所」
「そう言えば、僕もだよ」
「塔その物が必要なんじゃないから大丈夫!
 その場所に勾玉が存在する事に意味が有るの」
「…解ったよ、美雨。
 さぁ漣、轟。急ぐぞっ!!」
「うん!」
「おう!!」

三人がそれぞれの目的地へと駆け出して行く。

「炎の勾玉」

左手に宿った勾玉に美雨が呼び掛ける。

「私を導いて。
 丈が戦っていた場所へ。
 炎の塔へ」
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