最終地区にて

最終血戦編・2

Z地区。

先に到着していた人類軍は
空から降りて来る5つの光を見た。

輝きながら降りて来る5つの光は
まるで勝利を導く『星』に思えた。

「待たせて済まない」

光、いや レジスタンスメンバーは
人類軍を前に臆する事無く立っている。

たった5人だけの戦いだった。
それが、此処まで膨れ上がった。

自由を手に入れる為。
生きて行く為。
笑顔を取り戻す為。

理由はそれぞれだが
彼等は間違い無く、立ち上がったのだ。
1人の男の『心の声』に導かれ。

ウムラウトは人類軍の主要メンバーを紹介し、
部隊が3つに分かれている事を説明した。

「尖兵からの報告では
 敵も此方の動向を察知しているらしい。
 大掛かりな準備をしている様だ」
「だろうな。奴等は情報戦にも強い」
「数ではやはり、我々に分が無い。
 なので、ウルラウト殿とも話し合っていたのだが…」

疾風は不意に何かを察してフッと笑った。
自身有りげに仲間を見返す。

「本陣突入は任せておけ」
「疾風殿…」
「レジスタンスは最初からその覚悟だ」

少数精鋭が大軍に勝利する為には
敵本拠地に突入し、主の首を狙うしかない。
そして、その戦法を
レジスタンスメンバーは得意としている。

「では…我々は襲ってくるパラサイダー軍を霍乱いたす」
「助かる。だが、無理だけはしないでくれ」
「有り難き言葉…。肝に銘じますぞ、疾風殿」
「詰めた話をする必要が有りますな…」
「あぁ…」

疾風はそう言うと、再度仲間達を見返した。

「俺は彼等ともう少し話を詰めてくる。
 丈達はどうする?」
「僕、参加しても良いかな?
 必要なデータも持参したし」
「俺はこの辺の地理に疎いからな。
 話はよく解らんが、一緒に行こう」

「私は丈とこの辺を見てるわ!」
「え…?」

会議に参加する漣や轟に習おうと思ったが
思わぬ美雨の提案に声を失った。
だが、寧ろ彼には都合の良い申し出だった。

「どうする、丈?」
「俺…美雨と一緒に居るよ」
「解った」

疾風は優しい微笑を浮かべ、快く了承すると
漣達を引き連れてテントへと姿を消した。

* * * * * *

ソリティアの手に握られたカセット。
今迄彼が所有していた物とは形状がまるで違う。
それを専用と思われる機械に差し込み、
ゆっくりとボタンを押す。

ノイズの入った立体映像。
その姿はまるで『丈』そのものだったが
額に第三の瞳は存在せず、
見慣れない白衣を身に着けていた。

『この…映像を、見ている…と、言う事…は……
 僕……、に存在……』

途切れ途切れの声までも、丈そっくりだった。

『僕は…止められ……。でも、君達……』
「時代は繰り返すのかな、ポーン?」

ソリティアの言葉は
それまでの威厳有る『総帥』の物ではなく
まるで無垢な『少年』そのものだった。
立体映像の人物に「ポーン」と呼び掛け、
ソリティアは俯いた。

「解らなくなって来たよ…」
『僕は…』

一瞬の沈黙、そしてゆっくりと紡がれる言葉。

『君達を…信じているよ。
 誰よりも、愛してる』

ソリティアの瞳から涙が溢れ出す。

「ポーン…。見ていて。
 これが…答えだよ」
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