外はすっかり明るい日が照り出していた。
「7:00AM。もう朝ネ…」
「来るのが遅かったから
こんなもんか」
「珍しいネ、シッカリ睡眠取って」
「珈琲飲んで来たんだけどな」
「逆効果じゃなかったノ?」
「かも知れない…」
ボブは眠っている海を起こそうとはしなかった。
只 黙って、見守るだけだった。
まるでその姿は母親の如く。
「さて、ビジネスTime。
その後にでもBreakfast」
「All Right」
流暢な発音で海は応じた。
何故か語学は昔から強い。
「何、望む?」
「ライフル」
「弾丸は?」
「試しに2、本編で1」
「3つでOK?」
「充分」
「ふぅ~。相変わらずネ」
思わずボブは苦笑を浮かべる。
「カイのその精神、潔い。
武士道精神は僕、大好きネ」
「THANX」
自信が有るだけじゃこんな条件は出さない。
海のこの態度は
自分を追い詰めて初めて真価が発揮されると云う
【闘う者】の姿勢そのものだ。
ボブはそんな海を気に入っている。
良いパートナーだと思っている。
傭兵生活を経て武器商人となったボブは
そんな客と会える事を楽しみにしていた。
海こそが理想の客だった。
だからこそリクエストには100%答える。
それがプロの仕事だとボブは思っていた。
「商談成立、だな」
「仕事内容は大体判ってル。
God bless you 海」
「神は神でも、この場合は死神だ…」
ボブお手製の弾丸カタログに目を通しながら
海はお得意の悪態を吐いていた。
「それにしても…」
サンドイッチを頬張りながら
海はボブに語り掛ける。
「良くこの店潰れないな」
「What?」
「だってそうだろ?
この御時勢に売春宿だぜ。
然も性別問わずと来たもんだ」
「年齢には五月蝿いけどネ」
「警察は何やってんのかね~?」
「あぁ、心配無いネ」
「何で?」
「警察の上層部、御得意様」
「…何やってんだよ、国家公務員」
「Careerも多いヨ。官僚も政治家もネ。
人間、どんな職業でもスケベ兄弟」
「…ヤな兄弟だわ、それ。
仕事しろよ、税金持ち逃げ」
「海がそう云う台詞言うと
遂に病気になったのかと
本気で心配になるヨ」
真剣な表情で見つめられると
とてもじゃないが冗談とは受け取れない。
海は目を真ん丸くしたまま
唖然としてボブを見つめていた。