Scene・3

File・1

鷲汰の話を聞き、
璃虎は嫌な顔を浮かべている。

「だから…俺を巻き込むなよ」
「お前の脳味噌に用が有る」
「…腹が立つ言い方だな」

鷲汰は悪びれなく
開き直ったかの様に告げた。

「最近、ご無沙汰?」
「!!」

「図星か。
 だからストレス過多で
 御機嫌が宜しくなかったのね」
「……」

鷲汰は璃虎の弱みを握っているらしい。
フルフルと腕を握り締める璃虎に対し
鷲汰は笑顔を浮かべている。

「やる?」
「…やってやろうじゃねぇかよ」

頭が良い奴ほど
挑発には弱いのかも知れない。

* * * * * *

鷲汰の事務所に
いつものメンバーが漸く揃った。

「久々ですね、
 皆がこうして揃うのも」
「…2週間前も会ったけど?」

明るめに話をしようとした拓馬の試みは
璃虎の不機嫌に妨害された。

「さぁ、お仕事の話をしようか」

未津流が笑顔を浮かべ
鷲汰の顔を覗く。

「どんな依頼を貰ったのかな?」
「…ボディガード」
「誰の?」
「良い女」

鷲汰はフッと笑みを浮かべ
大人向けの雑誌を開ける。

「……」
「あれ、璃虎さんって
 こう云うの嫌い?」
「…嫌い」
「女をその対象で見ない奴の
 典型的な発言だな」
「…鷲汰、五月蝿い」

「とにかく話を戻すと、
 今回の依頼主はこの女優。
 表紙の…」
「袋綴じの方じゃなかったのか」

拓馬は少しガッカリした様だ。
何を期待してたんだか。

「報酬は1日で…1人頭5万円」
「出るねぇ~」
「弁護士やってるんなら
 儲けるでしょうが…」

拓馬の苦笑に
未津流は態と惚けて見せた。
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