Act.3:First Attack

Urthr 編

この森を抜ければ、又 街が見えてくるだろう。

タラークはご機嫌だが、
どうもキリークは街に慣れない様子で
先程から落ち着かない。
盛んにアークの顔を見つめている。

「大丈夫だって」
とは言いながらも、
アーク自身も自信が無い。

キリークの刺青はかなり目立つのである。

「泥でも塗って誤魔化すか?」
「無駄だ」
ウーンは一言で切り捨てた。

「俺達も『お尋ね者』だと云う事を忘れるな」
「ほ~い」

「アイツは絶対覚えちゃいねぇな…」
アークの呟きを耳にしながら
ウーンは静かにキリークを見つめる。

「お前も、人間に慣れる努力をしろ。
 人間であればこそだ」
「慣れ…る……」
「そうだ」
「……」

救いを求める瞳。
真っ直ぐにアークを見つめてくる。

「…お前は一人じゃないから、キリーク」
「そう云う事」

アーク、タラーク、
そして無言ではあるもののウーンの力強い表情。

キリークは漸く、小さくだが頷いた。

* * * * * *

「町だ…」
アークは目を細めて先方を見つめた。

だが、その先にあるものは
どう見ても『廃墟』であり、
人の気配は感じられない。

「何が遭ったんだろう?」
「さぁ…」
おどけてみながらも、タラークは既に
腰に忍ばせた大型リボルバーを手にしている。

「来るぞ!」
ウーンの声が一際響く。
まるでそれがゴングの様に。

地面から一斉に伸びてくるコードの様な触手。
真っ直ぐに4人に迫る剥き出しの部分。
確かに、其処には機械の様な部品が見えた。
生物系の触手では無い。

「ピクシー!!」
「はいよ~~~ん!」
アークの呼び掛けに、彼女は軽やかに答えると
いつの間にか彼の前に姿を現した。

シンクロ率が高く、レベル差がマスター側に利が有ると
召喚は格段に速く確実になる。
アークがピクシーと契約しているのは
そう云う利点を突いているのだ。

尤も、彼女自身も経験を積み
他のピクシーよりは遥かに魔力も上昇している。
アークの仲魔として、アシスト係としては充分な程。

「機械の触手って…気持ち悪~~~いっ!!
 喰らえ、『オン・イー』ッ!!」

何とも気の抜ける声とは裏腹に
激しい稲妻が触手を狙い撃ちする。

しかし、表面のコーティングが邪魔をするのか
ダメージは思った程与えられていない。

「何、コイツ等っ?!
 むっかつく~~~っ!!」
「ピクシー」
「何、キリーク?」
「俺が表面を『焼く』から
 その後に『イー』を撃ってくれ」

直接攻撃組は触手の奇妙な動きに悪戦苦闘し、
タラークも照準を合わせ難いのか
アイテムを使って回復係に徹している。

突破口を開くには魔法しかない。

「間髪入れずに撃ち込んでやるわ!」
ピクシーの元気有る返事に
キリークは笑みを浮かべた。

「アーク、ウーン、離れろっ!」
彼の声に、作戦を察したのか
2人は素早く触手との距離を開ける。

「…『オン・ラー』」
キリークの声に反応し、
彼の両手に炎の『因子』が召喚される。
それをゆっくりと合わせ…撃つ。

炎の大波が触手を飲み込んだ直後、
ピクシーの『イー』が
援護射撃の様に敵を襲った。

完全に動きがおかしくなった触手を倒すのは
アークとウーンの役目だ。
2人は見事な剣戯で触手を寸断していった。
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