自分なりに何度も考察し、纏めてみた。
しかしどれだけ思考を凝らしても
行き付く先は必ず或る一点。
「女神様の瞳…」
チョーカーで隠された瞳の位置をそっと撫で
ベルデは唇を噛み締める。
「もし…。
もしも私が恐れている通りなら…
大変な事が起こってしまう……」
彼女が想定する未来。
人が【人】を超えようとする暴挙。
その研究がこの場所で行われている事実。
「ベルデ」
「? シーニー?」
「あぁ、一寸良ぇかな?」
「…どうぞ」
同部屋のロッソは
まだトレーニングから帰って来ない。
ゆっくり扉を開くと
其処にはシーニーの他にゲール、
そしてトレーニングに向かった筈の
ロッソの姿も在った。
「あれ? 勢揃い?」
「あぁ。俺が召集を掛けたんや」
シーニーは笑っていたが、その口元は硬い。
背後に居るロッソやゲールの表情も同様だ。
「部屋、入って」
「じゃ、お邪魔しますわ~」
「…只今」
「ロッソだけは『お帰りなさい』だね」
「だな」
なるべく普段通りに。
何処で監視されているか判らない身の上。
こんな状況でも
いや、こんな状況だからこそ
尚更 油断は出来ない。
施錠を入念に確認すると
シーニーは何かの小型機械を取り出した。
「何、それ?」
「妨害電波発生器」
「?」
「盗聴器や盗撮カメラが
各部屋に設置されているのは
既に判ってる事やからな。
態々話の内容を教えてやる程
俺はお人好しやあらへん」
「…バレないかな?」
「シーニーがそんなヘマするとは思えん。
大丈夫だよ、ベルデ」
「ロッソ……」
「ま、ロッソからお墨付きも貰うたし
その辺は安心してくれて良ぇよ、ベルデ」
「…ん。解った」
「じゃ、作戦会議始めよか」
シーニーの合図に、ゲールが静かに頷くと
彼も懐から小型PCを取り出した。
様々な情報を精査しながら
四人は互いの意見をぶつけ合っていた。
もうどの位時間が経過しただろうか。
「此処でハッキリしとるのは…
奴等が『或る細胞』を利用して
新しい生命体を生み出したって事」
「それがこの【核子】って奴か…」
= 気味が悪いね =
「本当。気持ち悪い…」
「シーニー。
「無い」
「はぁ~っ?!」
「現存する兵器類では太刀打ち出来ん。
自己再生能力が高過ぎる」
「そんなのがウジャウジャ出来てるんだろ?」
「そりゃ~もう!
増殖能力もかなり高い数字弾き出しとるし」
= 外の世界に出たら、そんなのを相手にするんだろ?
NUMBERINGや人形どころじゃなくなるよ? =
「……」
「どうした、ベルデ?」
何かに気が付いたのか。
ベルデは真っ直ぐな瞳でロッソを見つめた。