その身柄をGvDの管理下に置かれていた。
G-Cellをその身に宿していると
組織の
彼女の秘められた可能性を引き出す為に
GvDはT支部に置かれた研究所で
彼女に纏わる人体実験を繰り返していた。
彼女の血や細胞片を使用しての
死者再生実験。
SPCの計算上では
あらゆる生命体に対応出来る筈だったが
何故か復活を果たした死者は
『一人も居なかった』。
それでもGvDは粘り強く研究を続けた。
この再生実験が成功すれば
今使用しているNUMBERINGの比ではない。
的場一家虐殺事件は最初こそ世間を騒がせたが
1年過ぎ、2年も過ぎると大衆の関心も薄れ
他のニュースに紛れていった。
GvDの目的は誰にも知られる事無く
研究に没頭出来る…予定だった。
鷹矢 晋司。そして甲斐 幸秀。
この両名の執念・執着心さえなければ。
直ぐにでも処分したいところだったが
今、下手な手を打つと
志穂の存在が表沙汰になる。
彼女の存在だけは
何が何でも隠さなければならない。
何としても。
燃え盛る研究所内で
マシンガンの連射発砲音が鳴り響く。
扉の解錠装置が全て破壊されており
研究員達は研究所内に閉じ込められたまま
何処にも逃げる事が出来ずにいた。
目の前で一人、又一人と
自分達の研究対象によって。
人の姿をした【それ】は
獣以上に恐ろしく見えた。
「S-S-P……」
震える声で女性研究員が此方を見ている。
声を掛けられた影は無言で銃口を彼女に向けた。
「何故…? 何故、こんな酷い事を…?」
「酷い?」
マスク下のくぐもった声。
「自業自得やろ。
散々俺等に酷い事してきたのはそっちやろが」
「私達は只、実験を……」
「【実験】と称すれば
人の体を切り刻もうが、高圧電流流そうが
何でも許されるとでも?」
「……」
「もう一度言う。【自業自得】や」
シーニーは容赦無く
至近距離から彼女の頭に
銃弾を一発撃ち込んだ。
何も感じられない位、苦しむ事も無く
短い時間で事切れたのは
彼のせめてもの【情け】だったのかも知れない。
= 誰一人として逃がすな。
……皆殺しや =
この研究所に居る者は
誰一人逃がしてはならない。
全てを徹底的に破壊する必要がある。
一切の情けは無用。
シーニーは仲間達にそう伝えている。
そしてロッソとゲールも同様に
己の心を殺して悪鬼に徹していた。
「ん?」
シーニーは奥から何かの生体反応をキャッチした。
この研究所が隠し持っていた核子が
目を覚ましたのかも知れない。
「雑魚を片付けたタイミングで現れたってか。
随分と空気を読んでくれるやん」
彼はそう言ってマシンガンを構え直した。