事件ファイル No.12-15

Rosso 破壊命令

「おはよう、鷹矢」

いきなり顔面にライトの灯りを照らされる。
眩しさから首を振って避けようとしたが
前髪を掴まれているらしく、
思った様に動いてくれない。

「面白い物が手に入ったんでな。
 少し【遊ぼう】と思っている」

ロッソの反応を見る事無く
水間は嬉しそうにガラス瓶の蓋を開けた。

「何の液体だと思う?」
「…知らん」
「こう使うんだよ」

水間はそう言うと、瓶の中身の液体を
ロッソの義手を装着する為のアタッチメントと
彼の生身の腕の間に垂らした。

「ひっ! ギ…あ、あぁーーーーーっ!!」
「どうだ? 肉が焼け爛れる感触は」
「あ…あぁ……っ」

激痛で既に言葉を発する事が出来ない。
奥歯をガタガタと鳴らし、痙攣を起こすロッソを
水間は満足気に眺めていた。

「義肢が又装着出来るとなると面倒なんでな。
 両手両足の接合部、全て溶かしてやるよ。
 あぁ。俺は親切だからな。
 ちゃぁ~んと『お前の生身の部分』を焼いてやる」

奇怪な笑い声を上げながら
水間はその言葉通り、ロッソの体を焼いていた。
液体の薬品を注入される度
その激痛にロッソは苦悶の声を上げ
体を大きく震わせた。

「必要とされずに生まれてきた俺達だけど…
 最期位はこの惑星ほしの為になる事をしようや。
 お前は壮大な計画の、いわば生贄だ。
 精々のたうち回れ。惨めな姿を晒せ。
 お前の惨たらしい状態を見れば…
 流石の志穂も、人間に愛想を尽かすさ」
「……志穂を、愚弄…する、な………」
「ほぅ…。まだ抵抗する気か?」
「お前に…志穂の、優しさは…理解、出来…な……い………」
「……」

一瞬だが、ロッソが笑った様な気がした。
心底水間を莫迦にする様な冷笑。
確かに、口角が微かにだが上がっている。

「その【目】が気に入らんっ」
「うあぁーーーーーーーーーーっ!!」

水間はそう言うと、ロッソの左目を素手で抉り抜いた。
返り血が大量に顔に付着したが
水間は満足気にそれを舌で舐め取る。

「流石にそれなりのダメージにはなったか?
 だが…まだ足りない。
 前と同じ様に殺してやるよ、鷹矢。
 確か…輩共に回されてから、
 刃物で全身を滅多突きに刺され。
 その後に首を絞められていたっけな?」

水間の合図で黒服が鎖を天井と壁から外す。
ドサっと派手な音を立てて
ロッソの体が血塗れの床に叩き落とされた。
既に疲労困憊で抵抗する事すら出来ない。

「男に抱かれて、果たして感じるのかね?
 一度この目で見てみたいと思ってたんだ。
 い声でいてくれよ、鷹矢ぁ~」

悪趣味なショーでも見るかの様な感想。
その言葉に導かれる様に
悪夢の再現を演出する為の人員が
この薄暗い部屋に入って来た。
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