事件ファイル No.13-14

宣戦布告

「結局、あの男には何も出来なかった。
 晋司からも、甲斐さんからも
 大切な存在を奪う事は出来なかった」

そう言ってベルデは微笑みを水間に向けた。

「貴方は渡邊に靡かなかった。
 どんな命令でも黙って従っていたけれど
 それでも、貴方は肝心な所で
 ちゃんと甲斐さんを支援し続けてきた」
「志穂……」
「貴方が、【私達】を守ってくれていたのよ。
 ありがとう、瀬戸さん」
「お帰り。瀬戸ちゃん…」
「甲斐…。
 俺を、又 そう呼んで…くれるのか?」
「お前は瀬戸ちゃんやろ?
 俺の大切な相棒の、瀬戸ちゃんや」
「甲斐っ!!」

水間はシーニーに抱き着くと
まるで幼子の様に大声で泣き出した。
この一瞬の為に、
彼は気が長くなる程の時間を
唯一人で耐えてきたのだろうか。
そう思うと、阿佐は悔しくて堪らなかった。

「出て来いよ、渡邊!
 そろそろ決着をつけようぜ!」

ロッソはニヒルな笑みを浮かべて
更なる挑発の言葉を放った。

「スーパーコンピューターに戦略を立てさせ
 核子と云う名の武器と防具を手に入れたんだろ?
 人形とNUMBERINGは俺達が全て始末した。
 今度はお前自身が戦わなきゃ駄目なんだぜ?
 出来るのか? 臆病者のお前にっ?!」

『存在ヲ否定サレタくせニ』

「お前が俺に言える反論はそれだけか?
 なら、お前も同じだよな?
 出来損ないが跡取りに任命される訳もなく。
 その事実に激高して親父を殺したんだよな?」

『黙レ! 黙レ黙レ!!』

「衰弱した爺さんの脳を
 スーパーコンピューターに取り込み
 あたかも御隠居が健在であると見せかけた。
 バレたら只で済まないもんな。
 爺さんはお前と違って
 人を引き付ける魅力が有ったろうし」

『黙レ! 殺ス! 鷹矢、殺ス!!』

「機械に取り込まれた成れの果てが今のお前だ。
 そんなもん、怖くも何ともねぇんだよっ!!」

ロッソの左隣に、いつの間にかベルデが立っている。
右隣にはシーニーが。
そして、ベルデの左側にはゲールが。

「【裁き】の時間よ、渡邊 純一」

その様相からは想像もつかない程に冷たい声。

「貴方の無い物強請りの為に
 どれだけの血が流され続けたか。
 貴方の祖父や父の行った事も非人道的で
 とても許されるものではない。
 だけど、貴方は祖父や父の陰に隠れて
 己の欲のままに更に悪行に手を染めてきた。
 GvDに利用されているとも知らず」

ベルデの瞳の色が緑色から紫色へと変わっている
ベルデだけではない。
ロッソは赤色から、シーニーは青色から
そしてゲールも黄色から全員紫色へと変わっていた。
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